On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2011-11-02 23:48:58

ぼくとテレビの、ちと、つらい関係について




▼いま11月2日の水曜日夜6時50分、伊丹空港のうどん屋で「たこ焼きうどん」を食べているところです。
 思いきり大阪オリジナルで、おいしいです。
 大阪出身のO秘書(独研・秘書室第2課/社長同行担当)は、おいしそうに懐かしそうに「大阪のきつねうどん」を食べています。

 そこへ、関西テレビの報道番組「スーパーニュース・アンカー」の若手ディレクターから秘書さんの携帯に電話がかかってきました。
 電話を代わると、いきなり、「大変なことをしてしまいました。申し訳ない」。
 げ。何だろ。
 テレビに顔を出していると、いろんな予測不能のことがあるけれど、さて何だろう。
 ディレクターは言葉を続けて、「コーナー(青山のニュースDEズバリ)で出した中国の地図で、台湾を同じ色に塗ってしまいました」
 うーむ、何たること。
 ぼくはその地図を使って、チベット自治区と、四川省の説明をしたけど、東シナ海や台湾のあたりはまったく見なかったので、まるで気づかなかった。
 こうした地図は、関テレ報道部が作成し、ぼくはナマ放送の本番まで、見ることは一切ありません。
 だから、ぼくとしては不可抗力だけど、関西テレビ報道部になり代わって、台湾国民と、視聴者のみなさん、お詫びを申しあげます。

(その後、帰京し、この地味ブログに来た書き込みを見ると、生放送中に間違いに気がついた視聴者のかたがいらして、関西テレビに電話したところ、対応した報道部所属ではない関テレ社員、おそらくは視聴者窓口の関テレ社員がいい加減な答えをして、スタジオに連絡するのを拒んだようです。
 何ということか。
 関西テレビは生放送中に訂正し、お詫びすべきだったのに。

 この視聴者のかたが書き込みを下さったのはいいけれど、その書き込みの最後に『青山さんも、台湾は中国領土とお考えなのでしょうか?』とありました。
 何で、こんなことを言われなきゃいけないのか。
 このようなことを言われるのなら、テレビはやはり出たくない。

 テレビ局がやることを、一参加(出演)者が何も知らないまま全部、被らねばならないのなら、もはや出るわけにいきません。
 関テレの視聴者窓口?のそのような対応にも、この書き込みの最後の一文にも、明確にここに抗議します)


▼さて…日々、想像以上にいろんな要望、要請、お願いがやって来ます。
 Eメールと、この個人ブログへの書き込みはもちろん、どんなにか時間を掛けられたのだろうと思うほど丁寧な手紙などなども含めて、やって来ます。
 なかにはお願いというよりは、あからさまに一方的な要求だったり、さらには威迫、脅迫と言わざるを得ないものもある。
 それは別として、たくさんの「ねがい」が届けられ、そのなかでも意外なぐらい多いのが「テレビにもっと出てください」という願いです。

 ぼくは、ちと、つらい。
 ふひ。
 関西テレビの報道番組「アンカー」は、上記のような情けない事件はあっても、ほんらいは良心的な番組です。
 それでも、ほんとうはぼくにとっての適正なペースは、まぁ、月に1回か、本音を言えば3か月に1回ぐらいでしょう。
 ぼくは、ほんとうは、たいへんに怠け者だし、目立つのは嫌いだし。

 だけども、たとえば海外出張や、学会出席や、東京でのどうしても外せない仕事や、そうした事情でアンカーを一度でも休むと、ほんとうに多くのかたがたから「休まないで」という声をいただいて、驚く。

 それと、テレビ番組への参加(出演)は決して本業ではないけれど、やる以上は、一定の義務はきちんと果たせねばなりません。
 だからアンカーは、体調が極限まで悪いときでも、たとえば左腰の骨を5本折っていたときでも、これまでは毎週欠かさず、参加してきました。
 参加しなかったのは、体調などの理由ではなく、上記のように、責任上外せない仕事とどうしても重なったときだけでした。


▼それにしても、テレビはこれだけ批判を浴び、ぼろくそに言われつつも、みんなの関心を依然、集めているんだなぁということを、ちょっと不思議に思いつつ実感します。
 ぼく自身は、あまりテレビを視ません。
 もっと正確に言うと、東京の報道番組はおおむね音を消して、つけています。パソコンで仕事をしながら、ちらちらと目線を走らせて、何が起きているのかを掴み、これは、と思うニュースは、あとで当事者らに電話をしたり会ったりする努力を、ぼくなりにやります。
 音を消しているのは、(申し訳ないけど)テキトーなコメントが多すぎて、げんなりするからです。

 あと衛星放送で、原語の海外ニュースはよく視ます。それから映画、科学番組、音楽番組も視ます。
 何だ、よく視てるじゃないか。
 いま自分でもそう思いましたが、要は、バラエティ番組など現在の地上波のテレビで主流の番組はほとんど視ないし、在京テレビ局の報道番組も、僭越ながら、前述したようにコメントは聴きません。


▼さて、そのうえで、多くのご要望があるからこそ、少ないながらテレビ番組にも参加(出演)します。
 そして、ぼくにとって、テレビ番組に参加するというのは、見かけ以上に手間がかかります。

 こないだ、テレビ大阪の「たかじんNOマネー」では、10月22日土曜日の午後1時半過ぎに局に入り、2本分を収録してから、夜7時から9時前までの生放送に参加しましたから、凄い拘束時間だナァと思いました。
 現在のぼくと独研には、詰まった日程をこじ開けて調整するのが、かなりの力業です。

 それから、当日のそのエネルギー消費も、かなりなものだけど、テレビ番組に参加(出演)する前には、必ず、予定テーマに沿って当事者に会って話を聴いたり、政府当局者のうち信頼できる良心派に電話したり会ったりして、フェアな事実を確認するよう、おのれなりに努めています。
 これも、いくらかは、それなりには、エネルギーを使います。

「たかじんNOマネー」の初ナマ放送のテーマのひとつが「日韓」でした。
 韓国の電機メーカー・サムスンの常務だった経済人がゲスト参加されて「サムスンにいた時は竹島の話などしなかった.しても意味がない」という趣旨の話(正確な言葉は違います。あくまで趣旨)をされたから、ぼくは正直、こころの底から憤りました。
 このかた個人に憤ったのでは、まったくありませぬ。個人批判をするのでも、ありません。
 たとえばイギリス人やアメリカ人、フランス人が、おのれの祖国の領土を侵略し占拠している国の会社に役員として入るとする。
 そのような相手国の会社であっても役員としての招聘(しょうへい)に応じることはあり得ます。
 しかし役員となったあと、必ず、堂々と胸を張って祖国の主張の正しさを強調するでしょう。
 なぜか。
 それをしないとむしろ、人間として軽蔑されるからです。
 誰も口に出しては言わずとも、その人物と、そしてその祖国が軽んじられます。
 これを分かっていないことこそ、たった一度の敗戦から66年を経て変わらない、日本の病の根っこのひとつです。
 だからぼくは、おのれを励まして、真正面から批判しました。
 スタジオ内には、ちょっと閉口して笑いに紛れさせようという空気もあったけど、いえいえ、ここだけは笑っている場合ではありませぬ。


▼ただ、ぼくは本心では、激しい言葉を吐くのが嫌いです。
 しかし秒刻みで、視聴者に伝えるべきを伝えねばならないテレビ番組では、好き嫌いを言ってられない。
 おのれ自身を内心で叱咤激励して、発言しようと努めます。

 だから、番組が終わると、どっと疲れる。
 こころの疲労はすぐ回復するけれど、番組について次のオファーが来たとき、胸のうちでは、ちょっと登校拒否児童みたいになっています。

 この経済人のかたは、番組のあと大阪のホテルに泊まられたようでした。
 なぜなら、エレベーターのなかで、青山千春博士と偶然、一緒になったからです。
 そのホテルは、独研(独立総合研究所)にとって定宿です。ぼくはその時間、たかじんさんたちと打ち上げに行き、青山千春博士は仕事をするためにホテルに戻りました。もちろん、経済人は青山千春博士を知りません。
 経済人は「あー、今日のテレビは疲れた」と独り言をおっしゃったそうです。
 たいへんでしたね。
 ご苦労をかけて、こころから申し訳なく思います。
 変な奴に絡まれた、と思われてもいいですが、できれば、それで終わらせないで、日本国の経済人の生き方について、すこし考えてみていただけないでしょうか。


▼この番組のテーマ、日韓を扱う番組へのオファーがもうひとつ、ありました。
 オファー自体は、かなり前に来ていました。
 それはフジテレビの若手ディレクターで、アンカーなどのぼくの発言を見て、聴いて「どうしても出て欲しいと思いました」ということでした。
 番組名は「日中韓テレビ」。
 日本、中国、韓国から数人づつが出て、言いたいことを言い合う番組ということで、パイロット版を放送したとき視聴者の反響が大きかったので、深夜枠でレギュラーにしたいから、ぼくにも参加して欲しいということでした。

 ぼくは、芸能プロダクションのようなところとは関係を持たないので、以上のような話が、そのディレクターから独研(独立総合研究所)の総務部に直接、来ました。
 総務部から「どうしますか」と聞かれましたが、ぼくは、そのまま放っておきました。前述したように、「言い合う」というのが、ほんとうは好きじゃないから。
 たまに(正確には、ごく、たまに)顔を出す「TVタックル」は、まさしく言い合う番組だし、もう、それだけで充分でしょうというのが本音。

 しかし、そのディレクターから独研・総務部への申し入れは続き、総務部から「ディレクターが独研に来社して説明したいそうです」という話がありました。
「なぜ熱心なのかな」と総務部に聞くと、「ずっと(ぼくの)発言をウォッチしてきて、ネットやチャンネル桜での発言もすべて視てきて、こういう発言が日本には必要だと思った…そうですよ」と独研のY秘書(秘書室第1課/日程調整担当)は言います。


▼そこでディレクターに会いました。
 若手のひとです。
 ぼくはまず、「フジテレビにはデモが何度も起きていますね。韓国のドラマがそんなに多いのですか。韓国のタレントも、そんなに出ているのですか」と聞きました。
 前述したように、ぼくは地上波のテレビをあまり視ないので、こう聞きました。

 若手ディレクターは「確かに、かなりやっていると思います。フジテレビだけではないと思いますが」と答えました。
「関西テレビのひとたちに聞いたら、韓国のドラマやタレントは値段・出演料が安くて、それでいて視聴率は一定以上は稼げるから、やっているだけじゃないか…ということでしたが、そうなんですか?」と聞くと、「私は韓流ドラマなどを手がけたことはないですが、そんなところでしょうね」という趣旨の答えでした。

 そして若手ディレクターはこう言いました。
「デモが起きていることは正直、驚きましたが、私なりに、しっかり受け止めています。だからこそ日中韓テレビをレギュラーにして、日中韓で言いたいことを言い合って、公平に視聴者に判断してもらいたいと考えています。青山さんに、どうしても出てもらいたいのは、どんな場合にも、声の大きい中国や韓国に対して、言うべきを言い、フェアな意見を言ってもらえる唯一のひとだと信じるからです」
 ぼくは黙って聴いていました。

 このフジテレビの若手ディレクターは続けて、「日中韓テレビは、レギュラー化するに当たって、なかよしテレビという番組名にします」
 ぼくは驚いて、「それじゃ、やはり、出られませんね」と応えました。「最初から、なかよしになれと決めてあるのでは、言うべきことを言う番組にはならないでしょう」
 ディレクターは「いえ、言うべきことを言ってこそ、なかよしになれるという趣旨ですから」と譲らない。

 ぼくは、こう述べました。
「それでは、デモに参加しているひとびとの声を受け止めていることにならないでしょう。しかも、あなたはフジテレビの中で孤立しませんか。日中韓はとにかく何が何でも、ただ仲よくしろ、という趣旨の番組だと解釈されて批判が集中しても、フジテレビの誰もあなたを擁護しないで、あなたこそ悪者だとされてしまいますよ。ぼくが参加するしないとは別に、番組名を変えるべきです」

 ディレクターは局で検討するということで、帰られ、ぼくは同席していた青山千春博士の意見を聴きました。
 青山千春博士の意見はいつもシンプルです。
「出てみて、嫌なら、やめればいいでしょう。私は出るべきだと思います。社長(青山繁晴)の意見を、世の中にもっと発信すべきですから、ベストではない機会であっても、相手が社長に出て欲しいというその理由が、まともなら、出るべきです」

 やがて、ディレクターから連絡がありました。局内で激論もあったようです。
「どうにか妥協策として、なかよし?とクエスチョンマークを付けました。番組内で日中韓が徹底的に議論してみて、初めて、仲良くなれるかどうか分かるという趣旨です」
 クエスチョンマークだけで、果たして、その趣旨になるかどうか。
 しかし、この若手ディレクターなりに、努力していることは認めねばならないと考えました。
 そのうえで、具体的にどんなテーマになるかを問い合わせました。

 レギュラー化して第1回と第2回の放送は、田原総一朗さんらが出演して、もう収録が終わっているそうでした。
 ぼくが参加を要請されているのは、それ以降の放送で、第3回のテーマが「働くのなら日中韓のうち、どこか」、第4回が「嫁ぐなら」、そして第5回ががらりと変わって「豆腐料理を食べるのなら、どこか」。
 このテーマ一覧をEメールで見て、青山千春博士は「それぞれ、豆腐料理の回だって、文化的背景とかあるし、社長にしか言えないことがあると思うから、出るべきです。それに、もう一度言いますが、まずはいったん出て、嫌ならやめればいいと思います」と意見を述べました。

 ぼく自身は「いったん出て、嫌なら、やめればいい」という姿勢はとらない。
 いったん出たなら、できるだけ続けるべきです。やめるときは、よほどの理由があるときです。
 その姿勢でなければ、アンカーもTVタックルも、もうすでに、生涯二度と出ていないでしょう。
 ぼくは、若手ディレクターの努力を、もはや無視できなくて、参加(出演)することを決めました。


▼そして収録は、10月23日の日曜に、これも「たかじんNOマネー」と同じように、一気に3本撮り。
 テレビ局というのは、人使いが荒いなぁ。
 日曜の午後3時半から、実に夜9時半まで、6時間をスタジオの中。
「報道番組ではないので、交通費は出ません」という連絡が、独研の総務部にあったそうで、自分で車を運転してスタジオ入り。
 報道番組でないなら交通費が出ないというのは、どういう理屈か分からないけど、別に問い合わせる気もない。

 それはいいけど、スタジオに入って分かったのは、1本あたり1時間半近くも撮って、放送は20分だけ。
 あぁ、悪い予感がする。
 TVタックルと同じく、収録は長いけど放送は短いという番組は、ぼくの発言はほとんど使われません。
 それは視聴者には分からないから、TVタックルは参加(出演)するたび、「何で、あまり発言しないのか」、「何で、あの人のあの発言に反論しなかったのか」というEメールや書き込みが、どっと来て、本音では嫌になります。
 そんなことを言われても、ほとんどのケースは、編集でカットされているのだから、どうしようもない。
 一参加(出演)者が、編集に介入など実際問題、一切できないし、そもそも、とにもかくにも参加した以上は、テレビ局の編集権に介入すべきでない。


▼この「なかよし?日中韓テレビ」収録1本目の「働くのなら…」の回では、たとえば、野田総理が日韓首脳会談で通貨スワップを急拡大したことについて「ウォン安を人為的に作ってきた韓国がまず、自助努力をすべきであり、間違っている」と話しました。
 すると当然、韓国側の女性教授キム・キョンジュさんが「そんなことない」と全否定。
 それはいいけど、ぼくの横に座っている、というか、日本側のいちばん真ん中にいる参院議員にして元厚労相の舛添要一さんが、キム教授に「この人(青山繁晴)は、政治家じゃないから」とおっしゃった。
 政治家じゃないから無責任な評論を言う、とでも言いたかったのでしょうね。
 ぼくは、すこしも驚かなかった。桝添さんの言いぶりは予想通り。
 政治家なら責任あることを言う、とでも日本国民が考えているとお思いなのかなぁ。

 収録の2本目からは、日本側に女性作家のかたが加わった。
 このかたは、かつて女性週刊誌で「アンカーから外された」という話題で勝谷誠彦さんと対談し、ぼくの名前は出さないものの「アンカーで居残った男は、政府から不公正なカネをもらっている」という趣旨を発言された。(正確な言葉ではありません。あくまで趣旨)
 明らかな名誉毀損であり、独研の総務部からは「刑事告発しましょう」という声があがりました。
 ちょうどその頃、伊丹空港のエレベーターで偶然、勝谷さんに会ったから、この女性誌の内容に抗議すると、勝谷さんは「私はそんなことは全く考えていないし、発言もしていない。青山さんは、いちばん、そのようなことはしない人だから」とおっしゃったので、「しかし女性作家の発言に同意されていましたね。記事ではそうなっていました」と問うと、「お詫びします」と謝罪された。
 そして、独研の総務部長代理(実質的な総務トップ)でもある青山千春博士は「こんなものは放っておけばいいと思います」と、いつものように簡明な意見です。

 女性作家は、アンカーを外されたのではなく、関西テレビの当時の急激な経営難で、参加(出演)者が絞られただけのことだったけど、この女性作家のかたとしては不満だったのでしょう。
 ぼくが硫黄島の英霊の遺骨を取り戻そうという話をコーナーですると、CMのあいだに「そんなことより幼稚園を建てたりすることにお金を使うべきよ」とおっしゃってもいましたから。

 そうした不満から出た、思い込み発言であって、刑事告発や民事訴訟までするほどのこととは、ぼくも考えなかった。
 ぼくの読者や視聴者のなかには、ずいぶんと悔しく、不当だと思われたかたも沢山いらしたようだし、捜査当局の幹部は「刑事告発してください。すべきです。名誉毀損に充分に該当します」と明言された。
 しかし、ぼくは告発も告訴も見送りました。
 ぼくと独研に対する違法な誹謗中傷、名誉毀損については、もっと悪質な事例が少なからず、あります。そのような事例についてはすでに捜査が始まっているものもあります。
 女性作家のかたのケースは、番組を外されたという思い込みから来る不満で暴走して発言したと考えられ、悪質というより、いわば素朴な八つ当たりに近いですね。
 だから、ぼくの名誉は明らかに毀損されているけれども、告発も告訴も見送りました。

 いったん見送った以上は、水に流したと同じです。
 この女性作家のかたと、何年かぶりでフジテレビの控え室で顔を合わせて、ぼくは礼をもって挨拶しました。収録中も同じことです。
 どのひとであれ、発言をフェアに受け止めて、話すべきを話すだけです。

 この収録2本目からは、中国側に元北京放送アナウンサーも登場しました。
 このかたは、常に中国共産党の公式見解と、実質的に同じことを話されると理解しているけれども、上記の通り、どのひとであれ、ぼくの姿勢は変わりません。


▼さて、10月29日の土曜は、富士スピードウェイで開かれた「JAPAN LOTUS DAY」(イギリスのレーシングカー・メーカー、ロータスによるお祭り)でレースに参加する日でした。
 このごろは極めて体調も悪く、日程も信じがたいほど詰まっているし、マシーンも新しい、まったく乗り慣れていない、んじゃなくて、まるで乗っていないマシーンだったから、ふつうなら青山千春博士あたりから「不参加にしましょう」という声が出るのが世間の常識だと思うけど、青山千春博士はまったく逆。
「(ネットテレビの)青山繁晴どっとテレビの撮影も入っていますから、社長、頑張って予定通りにレースに出てください」。
 ぼく自身も万事、ドタキャンはしない、いったん交わした約束は守るということが原則だから、そのままレース参加の予定でいました。

 ところが、こういう時に限って「TVタックル」から、スタジオ収録のオファーが来る。
 講演と重なったときは、講演を絶対にキャンセルしない、できないから、直ちに断るけど、レースなら一考せねばならないかなと思いつつ、とりあえず独研から「検討します」と回答しました。
 すると、TVタックルの信頼する女性ディレクターから「TPPをやるんです。反対の論を張る青山さんが来てくれないのなら、企画自体をやめます」という連絡が来ました。
 そんなわきゃないよナァ、京都大学にも東京大学にも立派な反対派の学者がいらっしゃるし、これって単なるオドシだよなぁと思いつつ、なにせ話が来たのが、わずか数日前。
 そんなショート・ノーティスで言ってくるのも、ちとひどい、というか、いかにもテレビ的だけれど、時間がないだけに、断ったらホントに困るのかなぁとも考えてしまう。

 しかしロータスはロータスで、ぼくが東京ロータスセンターの信頼するスタッフに「TVタックルの収録でレースに参加できないかも」とひとこと言っただけで、「えぇーっ」と叫んで、珍しく顔が凍りつきました。

 困ったあげく、予定していた2本のレースのうち、午後のレースを諦め、早朝の1本目のレースだけ参加することにしました。
 ふつうは、レーシングカーをサーキットまでトレーラーに乗せていくのだけれど、ぼくはとにかくお金がないので、レーシングカーをそのまま富士スピードウェイまで転がしていく。(ナンバーは、もちろん付いています。)
 時間がないから、そのレーシングカーでテレビ朝日に乗り込むことになってしまいました。

 さぁ、それを当日の10月29日土曜に実行してみると、朝5時に自宅を出発して富士スピードウェイに着き、朝8時50分からのレースに参加し、11時に富士スピードウェイを出発して、スタジオ入りの午後1時までにテレビ朝日に着くよう、レースで力を絞りきったレーシングカーを公道でも運転して、スタジオに入ると、さすがに集中力がもう残っていないことに気づきました。

 ぼくらのレベルでも、富士スピードウェイのストレートでは、時速245キロぐらいに達する。
 わずかなミスで死が待っている。
 したがって消費する集中力は、はんぱじゃない。

 収録が始まって、それでも10分ぐらい経つと、ぐーんと集中力が回復してきました。なにせ国の運命を変えかねないTPPの話題です。
 収録時間が、以前の2時間から1時間半に縮まっているのも、助かった。
 しかし、放送は実質40数分。
 発言が大幅カットされることには変わりありません。

 その結果、放送のあと今回も来ました、「なんでもっと発言しないのか」、「なんで反論してくれなかったのか」というEメールや書き込みが。
 ぼくは、TVタックルが放送された10月31日月曜の夜は、独研が会員制で配信している東京コンフィデンシャル・レポート(TCR)の「懇話会」で会員の質問を受けていたので、放送を視ていません。
 録画もしていません。

 だから、どのように放送されたか、どうカットされたかは、知りません。
 カットはテレビ局の編集権でおこなわれます。ぼくは関知しません。今後も、しません。

 あぁ、疲れる。
 フジテレビの番組も、きっと同じ結果になるでしょう。
 ナマ放送のアンカーも、今日のような悲しい事件が起きて、ぼくが台湾を中国領だと思っているのかなどという無残な言葉を目にしなければならない。

 これでもテレビという奴に、顔を出さねばいけませんか、みなさん。


(※冒頭の写真は、10月29日土曜、富士スピードウェイで走るぼくです。下の写真は、レース前のドライバーズミーティングで)



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