On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2006-03-05 18:16:42

月山が迎えてくれた





 みなさん、ほんとうに、ご無沙汰しています。
 いま山形県の日本海側にいます。お米どころで有名な庄内平野です。

 きょうは山形県庁主催の「国民保護セミナー」で講演するために来ています。
 写真は、講演を直前にした控え室で、ぼくが正直、疲労のためにぼんやりしているところを、同行した独研の若き秘書室長が、撮っちゃった一枚です。

 中東出張での異常な疲労と、そのまえの体調不良のさなかの超過密スケジュールの講演旅行、そして帰国後すぐに再開となった同じく過密な講演旅行、それに民主党の危機やなんやかやで激しい水面下の動き…ちょっと自分でも想像を絶する日々が続いています。

 けれども、国民保護は、こうした「まさかテロなんか起こらないだろう。東京ならテロに関係あるかも知れないけど、ここらあたりでは関係ないだろう」という意識がありがちな地域・地方でこそ、大切なのです。

 だから疲労を押して、やって来ました。
 控え室では、こうやってぼんやりしていても、講演の本番では、命を張って、尽くします。
 それぞれの人生の貴重な時間を割いて、来てくださったかたがたへの、ぼくのそれがささやかな志です。

 空港から、この会場へ来るまでのあいだ、雪に輝く月山(がっさん)がみえました。
 ぼくがアルペン競技スキーに打ち込んでいたころ、夏合宿をしていた山です。

 かちんかちんで、ちょっとコンクリートみたいな雪渓からふと下界を見ると、はるか遠くに入道雲がみえました。
 ああ、あの雲に下には夏の海があるんだなぁと、みなで話しながら、黒く固まった雪渓を長い競技用のスキーで懸命に滑っていました。
 昨日のようです。


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