On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2014-06-13 04:18:59

ゆうべの講演会で白封筒に入った大金の寄付をなさったかたへ

 きのう6月12日木曜の夕刻、ニッポン放送の「ザ・ボイス」の生放送を終えたあと、東京・世田谷の住宅地・烏山(からすやま)に向かいました。
 ここの「産経新聞・烏山サービスセンター」が、志を持って「烏山講演会」というものを開いておられます。
 ぼくは、2年ぶりにこの「烏山講演会」でお話ししました。
 きのうは、ラジオの放送中からすでに生まれてこのかた体調最悪じゃないかと思う状態でしたが、会場の「世田谷区・烏山区民センターホール」に集まられた沢山のみなさんの凄い熱気に励まされて、どうにか1時間50分ほど話すことができました。

 ぼくはそのあと、ふたつ仕事があったのですが、聴衆の有志で行われた懇親会に、冒頭だけ参加しました。
 その時、思いがけないことがありました。

 主宰者の「産経新聞・烏山サービスセンター」の所長さんが、白い封筒を、ぼくや参加者のみなさんに示されて、「講演会で最前列に座っていた方から、青山さんと独立総合研究所への寄付を預かりました」とおっしゃいました。

 封筒は、その膨らみ具合から、大金が入っているようすでした。
 お名前が何も書いてないのも、分かりました。

 ぼくは即、「独研(独立総合研究所)は、こうした寄付を受け入れていないのです」と申しあげ、その場で辞退しました。
 所長さんは「え、じゃ、このお金はどうしたらいいの」とおっしゃり、ぼくは「この会でどうぞ、生かしてください」と僭越ながら申しました。
 所長さんは、たいへんに喜ばれました。

 この寄付をされた方は、間違いなく、わざわざあらかじめ寄付金を用意なさってくださったのですね。
 こころから感謝します。
 ただ独研は、たとえば中韓や北朝鮮などから、いわば「寄付に見せかけた工作のお金」が混じり込むことを排除し、清潔さを保つために、大原則として、寄付を受け入れません。
 ゆうべのように、お名前が分からない場合は、特にそうです。

 実際は、お名前もお顔も分からない、あなた様に深い敬意を持っています。
 満員の講演会に、最前列で参加されたということは、講演開始のずいぶんと前に会場にお見えになったのでしょう。
 そして、どういうお暮らしの方か分かりませんが、お名前も記さずに、すなわちご自分をいささかも誇ったりなさらずに、ひそかに、あの分厚い白封筒を用意してくださった、その志に、敬意と感謝を申しあげます。

 ゆうべは講演会自体も、聴衆として参加されたみなさんも、祖国とアジアへの誠実な、公平な、祈りと願いを持っておられました。
 そのなかの有志で開かれた懇親会に、あなた様の貴重なご寄付が生かされたと思いますから、どうぞ、わたしたちの辞退をお赦しください。

 ゆうべ深夜から今日の夜明けまで、体調回復に向けておのれを励ましつつ、あなた様のことを何度も繰り返し考えました。
 何も申さねば、「独研に寄付金が入ったはず」という事実ではないことが、残ってしまいますし、同時に、あなた様の志は生かされていることをお伝えすべきだとも思いました。
 連絡する手段がありませんから、あなた様がこの地味ブログを読んでいただくか、読まれた方から、あなた様に伝わることを祈っています。

 ありがとうございました、魂から。
 寄付金は受け取れずとも、志とお気持ちは十二分に、伝わっています。
 白い封筒の白さを、まぶしく思いました。
  • 前の記事へ
  • 記事の一覧へ
  • 次の記事へ
  • ページのトップへ
  • ページのトップへ