On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2019-12-14 21:50:38
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
Comments (6)

相手が科学者だからと・・・

・・・慮 ( おもんぱか ) って、これまでAGU ( アメリカ地球物理学連合 ) で出逢った世界の研究者たちと、いささかでも政治的な話をしたことがないのです。
 しかし今回は、たとえばドイツの著名な科学者から、問わず語りに、つまりぼくが聞いていないのに「英国人の愚かさは信じられない。ブレギジットとか言っちゃって、これで英国は滅亡さ」という言葉を聴きました
 彼はドイツ人としては例外的に見事な米語をしゃべるひとです。ごりごりのドイツ最優先のひととは思えません。
 ちなみに「日本では、譲位によって新天皇が即位されたんだね。譲位によって、というのは初めてのことじゃないのかい」と聞いてきました。
 海外の科学者から日本の天皇陛下のことを聞かれたのも、おそらくこれまでなかったと思います。
 詳しく説明しておきました。
 またブレギジットについても、旧東ヨーロッパのひとびとにはまったく違う考え方もあるとも話しておきました。

▼ひとつ勉強したのは、やはり、相手がたとえば外交官だろうが軍人だろうが、そして科学者だろうが関係なく、こちらがいつも胸を開いていることが大切だなぁ、そうすれば、これまで聞けなかった話も聴けるなぁと今更ながら、実感したことです。
 ぼくは不肖ながら、弱い立場の人々の側に常に立とうと試みているので、逆に、ある意味で強い立場のひと、たとえば彼のような AGU に来る著名な科学者というと、案外に固定観念で相手を見てしまっていたのじゃないかと、おのれを省みました。
 彼の言ったことがドイツ人の本音だとか、簡単には言いません。
 しかし、まさしく知性の塊である彼の言葉遣いが、突然に変わったことは印象深かったですね。

▼それに、ほんらいのぼくはこうして海外に出て、さまざまな国の人と稚拙なりに自由に話してきたんだなぁ、国会議員になって新しい仕事、公務はさまざまに出来ているけど、海外に滅多に出られないことだけはホントに困るな、とも感じました。

▼ぼくと彼の会話を隣で聞いていたアメリカ人の科学者が、「青山さんと同じような人がドイツにいるよ」と言い、「やっぱりメタンハイドレートという新資源への政府の取り組みが進まないために、科学者なのに国会議員になったよ。AGUの常連だったけどね。今回も議会のために来ていないみたいだ」と言いました。
 正直、かなり驚いて、ドイツ人の科学者にその場で聞くと「うん、そうそう。その通りだよ」と言って、このふたりからそのドイツ人議員の名前を教えてもらいました。
 いつか会ってみようと思っています。

▼それにしても今回の AGU 、音響観測を用いたメタンプルームの発表が、各国の科学者からまるでブームのように相次ぎ、その開拓者である青山千春博士の業績がよく分かりました。
 ぼくの発表の最後に、青山千春博士をパイオニアとしてあらためて紹介し、彼女が育てている若い研究者、学生たちに聴講席から立ってもらったとき、世界の学者から大きな拍手が湧きました。
 ぼくの配偶者だからどうなんてことは、その学者たちがまったく考えていないことも良く伝わってきました。もちろん知っている人は知っていますけどね。
 日本の現状、ありのままに申して理解がまだまだ少ないだけじゃなく、ごくごく一部、まったくの少数とはいえ妨害の標的にする現状と世界は大きく異なっています。
 AGU は、世界最大、世界最高権威の地球物理学の国際学会です。
 すでに前回でも、メタンプルームが取り上げられる傾向が強まっていましたが、今回は、目を見張るばかりでした。ぼくらにとっては長年お馴染みの、海中のメタンプルーム画像が次から次へと各国の最先端の科学者の発表に現れるのは、なんとも感慨深いことでした。
 勇気づけられます。
 世界は広い。
 そして日本は志のあるひと、潜在力の豊かなひとがいっぱいいます。今回のAGUでも、それをあらためて感じました。AGUの広大な会場で日本の東海大学をはじめ各大学、そしてJAMSTECをはじめ研究機関の研究者から声を掛けられて短時間でも交流し、あるいは高知大学、東京大学、九州大学、東京海洋大学などの学者たちと食事などして、日本の希望をしっかり実感しました。
 戦い続けます。

★ 誰に対しても、どなたに対しても語りかけようとしているのが、ぼくのささやかな著作です。
 新書2冊が24日に都内、26日に全国の書店に出て行きます。予約は、たとえばここと、ここです。

★★ 独立講演会は、みんなの眼を見て魂が語りあう、かけがえのない場です。ここです。
  4日後の18日に募集開始が迫っています。


★★★ この地味ブログに記すのは、公開情報ですね。同じく公開の場の虎ノ門ニュースでも、12月23日月曜に上記のことを含めて、写真や資料をできるだけ豊富にみなさんにお見せしながら、話し言葉でお伝えしますね。

 
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ドイツ大使館のツイッターアカウントで感じたこと【ama】
2019-12-15 14:05:09
ドイツといえば、新元号が発表されたとき、アメリカやイギリスの大使館アカウントはすぐにお祝いのメッセージをツイートされてたのに、ドイツの大使館アカウントはメッセージがなかったのを思い出しました。

そのときは「見逃したのかな?」と思って、検索コマンドも使って探したんだけど、やっぱり見つからなくて、「ドイツではこういうことをお祝いしないのかな」と思ってました。

青山さんのブログを見て、「ドイツの人って、実は日本にあまり興味がないのかも」と思ったんだけど、今、検索してみると、10月の即位礼正殿で初めてお祝いメッセージをツイートされてたんですね。

これって、文化的な感覚の違いなんでしょうか? ちょっとびっくりしました。ほんとに、先入観や固定観念で物を見ちゃだめですね(笑)

でも、ドイツもメタンハイドレートの取り組みが進んでいないというのは意外に感じます。ドイツのエネルギー事情って、そんなに豊富でしたっけ。
すごく面白い【にゃん子】
2019-12-15 00:10:04
青山さん こんばんは。(日本時間で恐縮です)
AGU関連のブログ、すごくすごく面白いです。
興味津々で読んでいます。
写真や発表前後の様子、合間での研究者同士のやりとり、どれも興味津々です。学会の雰囲気が伝わってくるようで、こちらまでわくわくしてきます。
研究室の先生が(実際、先生ですしね)学会であったことを色々話してくれた学生時代を思い出します。
最近は虎ノ門ではニュースコメントがメインですが、こういう話もまたお聞きしたいですね。
貴重なお話有難うございます。

どうぞ道中お気をつけて。(ご自愛しないとは存じますが。)
おもしろいですね【いっぬ】
2019-12-15 00:01:48
青山さんがぎーんだから政治ネタ振ってみようと思われたんでしょうか。
いろんな政治真情が見えておもしろいですね。
あちこちにコネクションがあると、意外なところから突破口が開くかもしれませんね。
弱い立場の人々に寄り添うこと【社会保障から経済成長?!】
2019-12-14 23:58:42
 弱い立場の人々に寄り添うことは、青山さん以外の多くの政治家もそのように見えます。ただ、そこでポピュリズムに流されずに、現実にできることをこつこつ積み上げている人は少ないと感じます。その数少ない一人が、青山さんだと考えます。
 アフガニスタンで亡くなられた中村先生も同じだったと思います。命を救うことを突き詰めたら、一面では華々しい医療活動を捨てて、運河を作るという判断になったのだと思います。
 自分も、増税がきちんと社会保障のために使われるのかどうか、チェックするくらいならできるので、やりたいと思っています。
メタンハイドレート【中今〇ノ丞】
2019-12-14 23:31:33
青山さん、いつも日本国、日本国民のために公務をして下さり有難うございます。
青山さんの仰る「日本の周りの海の底に広大な資源がある」ということを国民のどれだけの人がご存じでしょう。将来まさか海外からの逆輸入でメタンハイドレートの存在が知れ渡る、という情けない事にならなければいいですが・・・。
ところで、いつもよく青山さんのブログと、青山さんの出演される虎ノ門ニュースをネットで見ていますと、幼い子供が「なにみてるの?」と聞いてくるので「ああ、にゅ、にゅ、にゅ~すの人のだよ」と答えると「ああ、にゅ、にゅ、にゅ~すのひとね!」で私の子供には通じるのですが。
ということで私は固定観念を持たないで子供と接しております(て違うか・・・)
次回の12月23日の虎ノ門ニュースを楽しみにしております!
千春博士の情熱が海を越えて・・【きよちゃん】
2019-12-14 22:37:11
「海中のメタンプルーム画像が次から次へと各国の最先端の科学者の発表に現れるのは、なんとも感慨深いことでした」

そうなんですね~‼
・・感動して涙が溢れました。

どれだけ「メタンプルームは確認できていない」
「まだ調査に至っていない」等の言葉をこれまで経済産業委員会でも
日本海資源フォーラムでも答弁として聞いて来たことを考えますと、
まるで異次元ですね✨

千春博士のド真ん中の情熱が海を越えて、
研究者の皆様の御心を揺り動かされたのでしょうね。

ここまでの歩み、国益の為の脱私即的。

私共もしっかりと後世に伝えられるよう、後押しを続けて参ります。

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