▼今回のインド講演は、日印歴史シンポジウムの開催のまさしく直前に文科省から突如、依頼が来た、きわめて例外的なケースです。
　それだけに、ぼくが胸のうちで考えていたことの一つは「何か余計なことがあっても、何も言わないようにしよう。日本とインドの国益に寄与し、そして大戦で戦われた先人たちの名誉回復に深いところで繋がるような、バランスのとれた英語講演を準備し、それを実行することにぎゅっと集中する」ということでした。

　急遽、用意されたホテルは、仕事をするのに障害になる問題が幾つもあったけど、部屋を換える、ホテルを換えるということに時間を費やすのではなく、ひたすらに講演の準備に集中していました。
　しかし、寒い朝にわずか10分ほどの冷水のシャワーで、大洪水が起きて、荷物も危機一髪、部屋は物理的に使用不能になり、東京から同行した文科省の担当官に「部屋を換えてください」と淡々と言いました。
　ホテル全体の配管の問題がありそうで、ホテルを変えてもらうことも一瞬は考えたけど、それは時間を取ります。
　とりあえず部屋を換えてもらうと、電灯の多くはつき、お湯が曲がりなりにも出て、洪水は、堤防の決壊までもいかない、池ができるぐらいに収まる部屋だったから、不便はあっても、その件はそこまでにして、仕事に集中しました。

　同行の文科省の担当官「I」さんは、トンデモホテルのトンデモスタッフに向き合って、よくやってくれましたよ。
　部屋を換えてもらった、もうひとつの理由は、インド時間1月6日水曜の未明4時半過ぎからスタンバイするRKB毎日放送の生放送のことを考え、電話が繋がらないことを懸念したからです。電話は、新しい部屋で無事に繋がりました。


▼インドのわずか2日半のあいだに、北朝鮮の核実験と、懐かしい岡安キャスター(関テレ)による取材までありましたが、天はちゃんと味方をしてくれている気がします。


▼日印歴史シンポジウムでは、日本軍と連携してインド独立に尽くしたスバス・チャンドラ･ボースさんの直系の親戚である、スガタ・ボース・ハーバード大学(アメリカ)教授とも再会し、さらに、ぼくのささやかな提案「チャンドラ・ボース・ジャパン大学の創建」を当初から理解してくれているインド政府・人材開発省(文部省)の元次官で、バランス感覚に優れた紳士、スシール・チャンドラ･トリパティさんにも再会をできました。

　元次官には「日本政府は何事も遅い」という苦言もいただきましたが、ぼくはあくまで一民間人として、尽くせる力をすべてに尽くしていきます。
　メタンハイドレートも何もかも、その通り、巨大な壁ばかりが立ちはだかります。
　しかし、一度生きて、一度死ぬまでのことです。


▼書き込みのなかに、ホテルの件で「青山さんも音をあげている」と仰る方もいます。
　音をあげていますか?
　あげていれば、落ち着いて講演をすることも難しかったでしょう。

　書き込みの真意はきっと違うでしょう。ただ、ぼくなら、そのようには最前線に立つ人に申しませぬ。
　みんな、それぞれの最前線に立っています。
　尊重する気持ちが伝わるように、おたがいに、したいですね。