On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2022-08-10 19:13:40
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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安倍総理が真珠湾を訪れたときのほんとうのご意思を、現地でアメリカ政府の担当官に話しました


( 真珠湾に係留されている戦艦ミズーリの艦内に、この新しいレリーフ作品が掲示されています。
 アメリカの学生が、現在の日米の同盟を強調するためにつくったとのことです。
 旭日旗が星条旗とまさしく対等に扱われていますね )

▼安倍さんは総理在任当時に、真珠湾を訪問されました。西暦2016年12月のことです。
 アメリカのオバマ大統領と行動を共にする歴史的な訪問でした。
 訪問には、当時のわたしの知友でもあったハリス太平洋司令官も同道されました。ハリスさんは、日系人として初の海軍大将でもありました。( ハリスさんは、退役のあとアメリカの駐韓大使となり、日系人であることから信じがたい不当な扱いを受けました )

 訪問前に、外務省が作った日程表では、日本の真珠湾攻撃についてアメリカ政府公園局が極めてフェアな展示をしている「ビジター・センター」が外されていました。
 なんたることでしょうか。

▼そこでわたしは、許可を得て総理官邸の非公開の入り口から入り、総理執務室にて、安倍総理と一対一で向かい合いました。
 真珠湾で日本を正当に評価する展示館があることを写真付きで述べた著作(当時は「青山繁晴の逆転ガイド ハワイ真珠湾の巻」、現在では新書化されて「きみの大逆転」と改題)を手渡し、「日本人のこれまでの常識、すなわちリメンバー・パールハーバーとアメリカに言われて真珠湾攻撃をひたすら非難されているという思い込みを、総理の訪問によって覆してください」とお願いしました。
 当たり前のことながら、本の売り込みではありませぬ。
 特に、本の中のわたしの撮った写真を見ていただきたかった。一目瞭然、たとえば帝国海軍の空母「赤城」が深い尊敬を込めて、スケールモデルとして丁寧に復元されています。

 読書家でもあった安倍総理はその場でもう、本を読み始め、数多い写真も一枚、一枚、熱心に眺めていかれました。
 そして「分かった。必ず行くよ。外務省に言う」と仰いました。
 当時のわたしは、参議院議員となって半年でした。

▼そして実際に安倍総理は、日程を変更されてビジターセンターにも入られ、驚くべきフェアな展示をご覧になりました。
 ところが同行の記者団には、ほとんどその意味が分からなかったのです。
 英語をちゃんと理解しようとしなかった懸念もありますが、日本の記者がいかに、思い込み、刷り込みのままでいるかを物語ります。
 また外務省のブリーフィングが正当であったとも思えません。
 安倍総理の真珠湾訪問のこの部分は、ほとんど報道されませんでした。

 皮肉にも、わずかに朝日新聞だけが「安倍総理は展示内容に驚いた」という趣旨を短く報じました。( あくまで趣旨です。記事の言葉の引用ではありません )
 ふだんは奮闘している産経新聞も、意味が分かって報じたとはとても言えませんでした。

▼しかし安倍総理は帰国後、「あの展示には、ほんとうにびっくりしたよ。真珠湾攻撃は卑怯だとか、まったく言っていないじゃないか。あれがアメリカ政府の公式の施設だからね.凄いね。現場を見ないと分からないね」と仰いました。
 わたしは「そうです」と短く答え、「ただしアメリカ本土では、卑怯だったと強調しています。現場の真珠湾では、まるで違うということです」と述べました。 

▼この展示内容を変更させようと、中国がしきりに動いています。
 それは、ワシントンDCの国防総省(ペンタゴン)で高官たちが、わたしに証言しました。

 そこで現在の展示内容を確かめるために、きょう8月10日に、真珠湾を訪れました。
 対応してくださったアメリカ政府公園局の担当官は「ここに来てくれた安倍総理が暗殺されて、ほんとうに悲しい」と仰いました。
 わたしは、上記のような詳しい経緯は申さず、「安倍総理は、このフェアな展示をご覧になって驚かれたのです。現場で真実を確かめようという、総理のご意思でした。どうかこの展示のあり方を続けてください」とお願いしました。
 担当官は、わたしの眼を覗き込んで、深く頷かれました。





 
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