2020-06-10 13:22:27
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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香港をめぐる虚報について その4 (推敲しました)
★先のエントリーの続きです。
先のエントリーは、ここ→ここ→ここ→ここを順にご覧ください。
▼さて、みなさんと一緒に、中国の全人代が、香港に国家安全法制を適用すると決した5月28日木曜に戻りたいと思います。
全人代は、ご承知のように全国人民代表大会、オールドメディアは常に「日本の国会に当たる」と表現しますが、失笑するほど違います。常に、時の独裁者へのシャンシャン翼賛大会です。
独裁者としても異様なほど専横、強権的な政治を進める習近平国家主席の意思のまんま、香港に国家安全法制を当てはめる方針がこの全人代にて投票にかけられました。
2885人に及ぶ投票の中で賛成が99.8%というシャンシャンぶりで可決した内容は、要は一切の共産党批判、中国批判が違法とされ、北京が香港に「国家安全に関する機関」を置き、批判活動をすべて取り締まれるようになりました。
これが5月28日ですね。
▼こうなることは、それより6日前の5月22日に明らかになりました。
するとその22日、東京都内の駐日英国大使館から外務省に電話がありました。
実際は大使館の誰から、外務省の誰に電話があったか、分かっていますが、この『誰でもどこでも見られる、中国、韓国、北朝鮮の工作員でも無条件に見られるブログ』では記しません。
高官同士であったことは記しますが、高官と言っても大臣や総理では全くありません。
英国大使館の高官からは「近く米国など5アイズ ( 米英にカナダ、オーストラリア、ニュージーランドのアングロサクソン系の英語圏5か国 ) で中国に対して共同声明を出します。中国に対して厳しい姿勢で日本も一緒に臨みましょう」という趣旨の話がありました。
その共同声明に入ってくれという明確な勧誘はありません。
中国に共に対峙しようという確認に過ぎません。
そして共同声明の中身の話も全くありませんでした。
▼こういう話が来たのは英国だけであり、アメリカをはじめ他の5アイズ諸国からは何の話もありませんでした。
しかも、その後4日間、英国からも一切、何の話もありません。
そして採択となる5月28日の前日、27日になって突然、共同声明の文案 ( 英国による文案。のちに発表されたものとは一部、異なっている。アメリカなどと調整を経たと青山繁晴は考えています ) がEメールによって前触れなく外務省に送られてきました。
ただし発信者は、前述の英国大使館の高官ではなく、大使館の担当官です。宛先も外務省の担当課であって、日本の高官宛てでは全くありません。
▼さらにメールが来ただけで、「参加してくれ」とも何をしてくれとの話も何もない。
当惑した日本政府は、メールの発信者である英国大使館の担当官に連絡を取ろうと努めましたが、まったく掴まりません。
困って、日本政府は英国の外務省本省 ( 正式には、外務およびイギリス英連邦省 Foreign and Commonwealth Office ) に問い合わせましたが、「そんな話は在京大使館に聞いてください」と言われて、英国が何をしたいのか、共同声明の文案を直前になって送ってきたのは、参加してくれという意味なのか、参考にどうぞという意味なのか、日本は政府全体として確認すらできませんでした。
▼みなさん、恐ろしいことに、共同通信のワシントン電にある「香港への国家安全法制の導入を巡り、中国を厳しく批判する米国や英国などの共同声明に日本政府も参加を打診されたが、拒否していた」 ( 記事の原文のまま ) とは、実際にはこの経緯です。
まるで正式に、かつ具体的に声明入りを打診され、拒否したみたいに書かれていますが、決定的に違いますね。
これが虚報でなくて、何でしょうか。
週刊誌の記事じゃないのです。ワイドショーじゃないのです。見方はさまざま、などと言って済まされるねじ曲げぶりではありません。
▼一方、日本政府は安倍総理から外務省の現場に至るまで「アメリカを筆頭にアングロサクソン系だけで構成している5アイズに、安易に乗っかることはしない。日本は日本として、自律した外交をする」ということで、この政権においては従前から一致しています。
したがって、全人代の採択が5月28日の夕方になされると、まさしく間髪入れずに、すなわち数分後に菅義偉官房長官が記者会見で「深い憂慮」 ( serious concern ) を表明し、その夕方のうちに駐日中国大使館の孔鉉佑 ( こう・げんゆう ) 大使を日本の秋葉剛男・外務事務次官が呼び、同じく serious concern を直接、伝えました。、
そして直ちに、外務報道官談話で serious concern を公式に表明しました。
また茂木敏充外務大臣も、ぶら下がり取材に応じて「深い憂慮」を表明しました。
▼正確な時系列は以下の通りです。
5月28日木曜 すべて日本時間 ( 北京は、日本より1時間遅れです )
1600すぎ 全人代で採択
1610頃 官房長官会見が始まる
1620頃 外務報道官談話を発出 ( 霞記者クラブに配布 )
1720頃 駐日中国大使を召致
1800頃 外務大臣ぶら下がり会見
▼これらの時点で、5アイズは、少なくとも日本政府と国際社会の知る限り、何の行動も取っていません。
日本の5アイズに先んじる行動から、数時間経って夜中に、英米豪加の4か国が共同声明を出しました。
その共同声明のキーワードは「deep concern」 ( 深い憂慮 ) です。それ以上のものはありません。
日本の serious concern ( 深い、あるいは深刻な憂慮 ) とほぼ同じと言うべきですが、どちらかと言えば日本の方が厳しめです。
少なくとも、日本の方が米英などより腰が引けているとか、そうしたことはまったく言えません。
そして、5アイズのはずがニュージーランドが入っていません。
また、アングロサクソンではないドイツもフランスも、加わることはありませんでした。
さらに、中国大使を呼んで直接、抗議したのは、日本だけです。
★ぼく個人は、日本のこうした対応で万全とは考えていません。
中国に対しては、尖閣諸島への侵犯、日本の漁家の漁労への妨害をはじめ日本に対する重大事案が深刻化しているからです。
しかし香港の問題をめぐって、5アイズよりは、一歩、先に出て中国と対峙しています。
そのために、官房長官らが最近、繰り返し説明しているように「むしろ欧米諸国から日本の姿勢が評価されている」という事実があるわけです。
▼共同通信のワシントン電では「香港を巡り欧米各国が中国との対立を深める中、日本の決断は欧米諸国との亀裂を生む恐れがある」 ( 原文のまま ) と記していますが、なんでしょうか、この「日本の決断」とは。
話がまるで逆さまです。
印象操作という段階ではなく、まるで事実関係を逆にして、日本だけが何もしなかったように書いています。
客観的事実が書いてあるはずのストレート・ニュース ( 論評ではなく事実関係を伝える記事 ) でこのねじ曲げぶりでは、悪意を指摘されても仕方ないのではないでしょうか。
▼次のエントリーでは、直接資料として、いくつか掲げましょう。
( その5に続く )
先のエントリーは、ここ→ここ→ここ→ここを順にご覧ください。
B.【ほんとうは何があったか 1】
★ ここに記す経緯は、すべてぼく個人の責任において記します。ぼくは国会の一員ですが、政府の一員では全くありませんから、政府見解ではありません。個人による記述です。誤解なきよう。
ただし、当然のことながら、確認のとれた客観的事実を記しています。
★ ここに記す経緯は、すべてぼく個人の責任において記します。ぼくは国会の一員ですが、政府の一員では全くありませんから、政府見解ではありません。個人による記述です。誤解なきよう。
ただし、当然のことながら、確認のとれた客観的事実を記しています。
▼さて、みなさんと一緒に、中国の全人代が、香港に国家安全法制を適用すると決した5月28日木曜に戻りたいと思います。
全人代は、ご承知のように全国人民代表大会、オールドメディアは常に「日本の国会に当たる」と表現しますが、失笑するほど違います。常に、時の独裁者へのシャンシャン翼賛大会です。
独裁者としても異様なほど専横、強権的な政治を進める習近平国家主席の意思のまんま、香港に国家安全法制を当てはめる方針がこの全人代にて投票にかけられました。
2885人に及ぶ投票の中で賛成が99.8%というシャンシャンぶりで可決した内容は、要は一切の共産党批判、中国批判が違法とされ、北京が香港に「国家安全に関する機関」を置き、批判活動をすべて取り締まれるようになりました。
これが5月28日ですね。
▼こうなることは、それより6日前の5月22日に明らかになりました。
するとその22日、東京都内の駐日英国大使館から外務省に電話がありました。
実際は大使館の誰から、外務省の誰に電話があったか、分かっていますが、この『誰でもどこでも見られる、中国、韓国、北朝鮮の工作員でも無条件に見られるブログ』では記しません。
高官同士であったことは記しますが、高官と言っても大臣や総理では全くありません。
英国大使館の高官からは「近く米国など5アイズ ( 米英にカナダ、オーストラリア、ニュージーランドのアングロサクソン系の英語圏5か国 ) で中国に対して共同声明を出します。中国に対して厳しい姿勢で日本も一緒に臨みましょう」という趣旨の話がありました。
その共同声明に入ってくれという明確な勧誘はありません。
中国に共に対峙しようという確認に過ぎません。
そして共同声明の中身の話も全くありませんでした。
▼こういう話が来たのは英国だけであり、アメリカをはじめ他の5アイズ諸国からは何の話もありませんでした。
しかも、その後4日間、英国からも一切、何の話もありません。
そして採択となる5月28日の前日、27日になって突然、共同声明の文案 ( 英国による文案。のちに発表されたものとは一部、異なっている。アメリカなどと調整を経たと青山繁晴は考えています ) がEメールによって前触れなく外務省に送られてきました。
ただし発信者は、前述の英国大使館の高官ではなく、大使館の担当官です。宛先も外務省の担当課であって、日本の高官宛てでは全くありません。
▼さらにメールが来ただけで、「参加してくれ」とも何をしてくれとの話も何もない。
当惑した日本政府は、メールの発信者である英国大使館の担当官に連絡を取ろうと努めましたが、まったく掴まりません。
困って、日本政府は英国の外務省本省 ( 正式には、外務およびイギリス英連邦省 Foreign and Commonwealth Office ) に問い合わせましたが、「そんな話は在京大使館に聞いてください」と言われて、英国が何をしたいのか、共同声明の文案を直前になって送ってきたのは、参加してくれという意味なのか、参考にどうぞという意味なのか、日本は政府全体として確認すらできませんでした。
▼みなさん、恐ろしいことに、共同通信のワシントン電にある「香港への国家安全法制の導入を巡り、中国を厳しく批判する米国や英国などの共同声明に日本政府も参加を打診されたが、拒否していた」 ( 記事の原文のまま ) とは、実際にはこの経緯です。
まるで正式に、かつ具体的に声明入りを打診され、拒否したみたいに書かれていますが、決定的に違いますね。
これが虚報でなくて、何でしょうか。
週刊誌の記事じゃないのです。ワイドショーじゃないのです。見方はさまざま、などと言って済まされるねじ曲げぶりではありません。
▼一方、日本政府は安倍総理から外務省の現場に至るまで「アメリカを筆頭にアングロサクソン系だけで構成している5アイズに、安易に乗っかることはしない。日本は日本として、自律した外交をする」ということで、この政権においては従前から一致しています。
したがって、全人代の採択が5月28日の夕方になされると、まさしく間髪入れずに、すなわち数分後に菅義偉官房長官が記者会見で「深い憂慮」 ( serious concern ) を表明し、その夕方のうちに駐日中国大使館の孔鉉佑 ( こう・げんゆう ) 大使を日本の秋葉剛男・外務事務次官が呼び、同じく serious concern を直接、伝えました。、
そして直ちに、外務報道官談話で serious concern を公式に表明しました。
また茂木敏充外務大臣も、ぶら下がり取材に応じて「深い憂慮」を表明しました。
▼正確な時系列は以下の通りです。
5月28日木曜 すべて日本時間 ( 北京は、日本より1時間遅れです )
1600すぎ 全人代で採択
1610頃 官房長官会見が始まる
1620頃 外務報道官談話を発出 ( 霞記者クラブに配布 )
1720頃 駐日中国大使を召致
1800頃 外務大臣ぶら下がり会見
▼これらの時点で、5アイズは、少なくとも日本政府と国際社会の知る限り、何の行動も取っていません。
日本の5アイズに先んじる行動から、数時間経って夜中に、英米豪加の4か国が共同声明を出しました。
その共同声明のキーワードは「deep concern」 ( 深い憂慮 ) です。それ以上のものはありません。
日本の serious concern ( 深い、あるいは深刻な憂慮 ) とほぼ同じと言うべきですが、どちらかと言えば日本の方が厳しめです。
少なくとも、日本の方が米英などより腰が引けているとか、そうしたことはまったく言えません。
そして、5アイズのはずがニュージーランドが入っていません。
また、アングロサクソンではないドイツもフランスも、加わることはありませんでした。
さらに、中国大使を呼んで直接、抗議したのは、日本だけです。
★ぼく個人は、日本のこうした対応で万全とは考えていません。
中国に対しては、尖閣諸島への侵犯、日本の漁家の漁労への妨害をはじめ日本に対する重大事案が深刻化しているからです。
しかし香港の問題をめぐって、5アイズよりは、一歩、先に出て中国と対峙しています。
そのために、官房長官らが最近、繰り返し説明しているように「むしろ欧米諸国から日本の姿勢が評価されている」という事実があるわけです。
▼共同通信のワシントン電では「香港を巡り欧米各国が中国との対立を深める中、日本の決断は欧米諸国との亀裂を生む恐れがある」 ( 原文のまま ) と記していますが、なんでしょうか、この「日本の決断」とは。
話がまるで逆さまです。
印象操作という段階ではなく、まるで事実関係を逆にして、日本だけが何もしなかったように書いています。
客観的事実が書いてあるはずのストレート・ニュース ( 論評ではなく事実関係を伝える記事 ) でこのねじ曲げぶりでは、悪意を指摘されても仕方ないのではないでしょうか。
▼次のエントリーでは、直接資料として、いくつか掲げましょう。
( その5に続く )