On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2020-06-11 19:22:02
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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予算委員会とは不思議なもので・・・

・・・野党の質問であっても、意味のある質問であれば、今日のように8時間ほど座りっぱなしでも、あまり疲れないのです。
 ところが、陥 ( おとしい ) れる、貶 ( おとし ) めることだけを狙うかのような質問、ずっと叫びっぱなしでただ一方的に非難するだけの質問だと、答弁に立つ政府側と違い、こちらはただ聴いているだけなのに、口もきけないほど疲れてしまうのです。

▼身体の疲労だって、こゝろで決まる。これが人間だよねと、呟いてしまうような日々です。
 明日も早朝6時10分からのニッポン放送のあと、国対を経て、予算委員会です。

▼きょう終わってから、答弁に立たれていた閣僚のひとりから、電話がありました。
 答弁ぶりへの感想をお知りになりたいように思いましたから、中国と対峙するうえにおいて前進を感じましたと申しました。
 もちろん社交辞令ゼロの、本心です。
 それにしても、予算委員会のあと閣僚からわざわざこうした電話が来ることは、まぁ、そんなにあることではありません。
 すると、「青山さんがずっと傍聴しておられたので」と仰いました。「ほんとは終わってすぐ、その傍聴席に行ったのですが、青山さんは出られたあとでした」

 わはは。
 ぼくは傍聴者じゃなくて、国会議員で、予算委員です。

▼これはですね、武漢熱対策で議員の間隔を空けるために、ふだんは傍聴席の場所に、ぼくを含め当選回数の少ない議員が移動して、座っているのです。
 予算委員会は今日のようにテレビ中継されることがあり、すると、ご自分が質問に立たずともテレビ画面に映るだけで地元の支持者が喜ぶという議員が多く、その結果、当選回数の少ない議員が、傍聴席の場所に集められる結果になっているのだろうと思います。
 なぜなら、テレビカメラは予算委員会の部屋の2階部分に設置されていて、傍聴席は、その2階部分の真下なので一切、テレビには映りません。
 ぼくはテレビに映りたくないので、ちょうどいいのですが、他の議員はちょっと気の毒な気がします。

 政治記者の時代、予算委員会でテレビカメラに顔を向けている議員を見るのが好きではありませんでした。
 地元の有権者が喜んでくださる、それは凄く分かります。
 しかし、やっぱりちょっと情けない感じがしました。

 おのれがマサカの議員になってしまっても、ぼくはテレビに映りたくない。
 同時に、他の議員に、他のどんな人にも、自分の感覚を押しつけるのはもっと嫌です。
 テレビに映って地元に喜んで欲しい議員は、ちゃんと映ってほしいですね。

 早く正常な国会運営に復帰して、傍聴席には、主権者がちゃんと座られて、神聖な権利のひとつである傍聴がより自在に実行できることを願います。

▼ところで、きょうは終わって、ひとつ決心したのです。
 これまで、予算委員会でも他の委員会でも、本会議でも、どれほどトイレに行きたくても耐えて座っていました。
「異業種のひとよ、出でよ」と勝手に呼びかけている以上は、国会審議が大切なものであることを、国会に出ようかと考え中の人へ伝えたいからです。

 しかし今日の予算委員会の部屋は、徹底的に換気しているせいか、寒く感じることがあって、珍しく小さい方のトイレに行きたくなったのです。
 ぼくはもともと、トイレを我慢できる方なのですが、なにせ、予算委員会は長い。それも神経の逃がしようのない座りっぱなし。
 終わって、用を足したとき、これは、このままだとさすがに身体に影響がいくらかあるかもと、初めて思いました。
 そうなると、逆に、ぼくに投票してくださった48万1890人のみなさんに申し訳ないな。
 そこで、明日の国会審議から、どうしようも無いときに限り、そして審議の差し支えない場合に限り、トイレには行きます。
 明日は予算委員会と経済産業委員会と本会議があります。
 本会議がもっとも神聖です。元は貴族院である参議院では、どんなに暑くても上着着用です。
 だから本会議では、これからもお手洗いに行きませぬ。
 しかし他の議員が行くのは、まったく問題ありません。

 上着着用と言えば、まったく関係のないエピソードを、ひとつ。
 かつてCIAの高官だった老いたアメリカ人と、ワシントンDCで初めてランチしたとき、なにげなく上着を脱ごうとしたら、温厚で知的なそのご老人に厳しく、たしなめられました。
 そこが伝統ある会員制クラブだったからです。

 若すぎる国のアメリカでも、伝統を大切にする。
 ましてや永い積み重ねの日本の伝統を、どんな場所でも護りたいですね。



 
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