On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2021-05-05 00:18:49
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護る会と、経済安全保障

▼ぼくの記者時代に「国益」と記事に書いたら、「ちょっと右寄りじゃないか」とデスクに書き直しを求められたりしました。
( 一般には、デスクに対する記者の立場は弱いですが、その都度、デスクとじっくり話し合って、一度も「国益」という言葉を記事の中から削除したり、書き換えたりしたことはありません )

 これだけではなく「国家」という言葉も、たとえば「国家安全保障」と記事に記すと、これは「国益」よりももっと確実にデスクから、書き直しを求められました。
( これも一度も、書き直したことはありません。特ダネを日常的に出していると、デスクはかなりこちらの話を聴いてくれました )

▼これは報道機関だけのことではありません。
 敗戦後の日本ではずっと、実に76年にわたって、戦争も占領期も終わったあとに生まれた国民が多くなった時代となっても変わらず、国、国家という概念を右寄りだとか右翼っぽいとか、さらにはまるで悪いことのように考える社会習慣が続いてきたのです。
 世界は敗戦国だらけです。
 世界最強の軍を持つはずのアメリカですら、ベトナム戦争で大敗しています。
 しかし、ぼくが実際に歩いてきた諸国をはじめ、世界のどこにも「なるべく国家を考えない」、「国家なんて口にするのは、変わった人か右翼ぽい人」という奇怪な常識が社会にある国は、この、ぼくらの日本以外にはありません。

▼それでもこの頃は、「国益のために」と発言しても、変な受け止め方をされることは少なくなり、「国家安全保障が専門分野のひとつです」と言っても、あ、右翼なのかという顔をされることも、ほぼ無くなりました。
 その意味では、ずいぶんよくなったナァと前向きに考えるようにしているのです。実際、すこしは良くなったとは客観的に言えるでしょう。
 しかし・・・根っこのところには、想像を絶する深さで、背骨を抜かれたような社会であることは、残ったままなのです。

▼だから、武漢熱をめぐる危機を、単なる病気の問題とせずに国家安全保障の課題として捉えることが、政治家も行政官 ( 官僚 ) もなかなかできません。

 たとえばワクチンにしても、自由民主党のなかで武見敬三参議院議員ら医事の専門家と連携し、そのほんとうの効果から副反応、さらに長期的な影響という課題まですべてを含め、政府が国家安全保障として取り組むことを提起してきたのですが政治にも行政にも、その認識がまるで足りないままです。
 そのために国産ワクチンもこれだけ後れを取っています。諸国で著効を発揮している型のワクチン接種も当初予定よりずるずると遅れるばかりです。
 ( ただし、さすがに中国のワクチンに手を出さなかったのは、当たり前とは言え、良かったです。中国製ワクチンの接種の進んだ国では感染者と死者が逆に増えているケースもあります )

▼また中国共産党の独裁主義が経済の覇権も徹底的に狙うようになったこと、サイバー技術の進展、企業の国境なき活動の拡大によって、経済分野の国家安全保障が死活的に重要な課題になりました。とっくに、そうなりました。
 ところが日本の政府と政党にその考えが希薄なために、まず、日の丸半導体が衰退の危機に瀕することになりました。

 あるいは、不肖ぼくが長いあいだ警鐘を鳴らし続けてきた「LINEから日本国民の情報が韓国へ、韓国を通じて中国に抜き取られるリスク」という問題が、とうとう表の世界でも噴出したり、機微技術を多く持つ東芝を外資が買収しようとしたり ( これも強く反対し、当面は撤回となりましたが、まったく油断も安心もしていません ) 、そのほかにも日本の重要企業が中国を筆頭に外国から狙われ続けていたり、携帯電話を扱う楽天に「テンセント」こと中国企業の「騰訊控股」が出資する動きとなったり、台湾の半導体をめぐる技術力や製造能力が奪い合いになっていたり、中国には現実にルールを守らせないと貿易をはじめ国際経済の歪みがどんどん大きくなるといった重大案件が次々に起きています。
 その背景にも、「経済もただ金銭や景気の動きではなく、国家安全保障の一環として捉え直す」ことが弱いという根本問題が横たわっています。

 日本は、サプライチェーンを国内化し、国家安全保障にとって重要な技術は流出させず、経済分野の情報を包括的に守り抜き、カネの流れを中国に依存することを防ぐ国にならなければなりません。
 なにより大切なことのひとつが、日の丸半導体の再興です。
 国防、安全保障とはもともと、軍事のみならず、文化・言葉から経済・技術、消費税を含む税制までを包括する国家の最大命題です。

▼護る会 ( 日本の尊厳と国益を護る会 / JDI ) は、もともとは何を掲げて創建したか。
 自由民主党が取り組んでいない重大課題、タブーに近くなってしまっている課題に取り組むことを第一の目標に掲げて、おとどしの6月に発足したのでした。
 それが ( 1 ) 皇位継承の父系一系による安定、 ( 2 ) 中韓による国土侵蝕の阻止と回復、 ( 3 ) スパイ防止法の制定という3本柱です。
 しかし、自由民主党がそれなりに取り組んできたはずの拉致被害者の全員救出、憲法9条の改正といった超の付く重大課題も、まったく解決していませんから、護る会は、広範囲に総理への提案を重ねていくという行動をとり続けています。
 それだけではなく、不肖ながら代表を務めるぼくが力を尽くすのは当然の務めとして、執行部の面々を中心に、少なくない議員が水面下でギリギリの対政府交渉をずっと続けています。
 何もかも簡単にはまったくいきませんし、主権者から評価をいただくこともほとんどありませんが、それでも、いささかの前進はあります。
 前述の3本柱で言えば、小泉政権の打ち出した「女系天皇の容認」にはもはや与しない勢力を政府内と、自由民主党内に増やしています。
 あるいは、不充分ではあってもまずは出発点として土地利用に規制をかける法案を、他の議連などとも連携しつつ閣議決定に至らしめ、今は国会での審議入りへ努力しています。

▼経済安全保障に話を戻すと、政府内に芽生えている新しい動き、すなわち国家安全保障局 ( NSS ) に経済班が設置されて積極的に活動していたり、公安調査庁も経済安全保障を新しい任務として捉えて、しっかり取り組み始めたり、こういった動きを、強力に後押しすることが、自由民主党の現職議員65人でつくる護る会の役割のひとつです。
 その表れのひとつを、この「青山繁晴チャンネル☆ぼくらの国会」第147回放送 ( ここ ) で述べています。

 こうした経済安全保障の強化策について、菅総理に申し入れるための提言をつくるため、護る会は議論を重ねてきました。
 護る会が提言を決めるとき、創建以来のルールによって、次のような手順を踏みます。
 執行部での最初の議論 → 必要に応じて執行部会か総会で、外部専門家の意見も聴く → 必要に応じて政府機関との議論を進める → 高木啓事務局長 ( 衆議院議員 ) を中心に、提言の原案を作成する → 山田宏幹事長 ( 参議院議員 ) ら執行部、また全メンバーからの意見を募る → 原案の修正意見を整理する → すべてを踏まえて代表が案を完成させる → 総会で最終的な意見を募り、最後は代表に一任し決する → 総理らへ提言する

 この連休に入る前に、経済安全保障をめぐる提言書について、上記の「原案の修正意見の整理」まで進めましたから、連休と関係なく、ぼくは案の完成を急ぎました。
 連休明けの5月7日金曜に、護る会の総会を開き、最終的な自由意見を聴いたうえで、決する見通しです。





 
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