On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2021-07-13 10:47:56
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
Comments (0)

【書き加えました】  大谷さんはやっぱり見せてくれるひとです

▼先ほど、ホームランダービーが始まる前のエントリーに、「結果はどうであれ」と記した通りの結果になりました。
 いつもの笑顔の奥の方に珍しく緊張があって、肩にいくらか力が入るかな、と思ってはいました。
 しかし ! あの最後の追い上げ、追い上げて競り合う姿、素晴らしかったです。プロスポーツの本来の目的、「見せる、魅せる」ということを実現していましたよね。

▼明日のオールスター・ゲーム本番では、空気の薄い高地の環境でも疲れをなるべくとって、さらに大谷選手らしく臨んでいただきたいと願っています。
 それに、何よりシーズンの後半戦ですね。

▼さて、前のエントリーに関連して述べると、ぼくは自由民主党の議員として、4度目の緊急事態宣言にも無観客にも反対です。
 敗戦後の日本社会におけるゼロリスクの思い込みの深さは、今に始まったことではありません。ぼくらの多くが産まれる前の敗戦からすでに76年目となりながら、ますます深まっていると考えます。
 たとえば福島原子力災害の時と、そのあとの長い取り組みでも、ずっとこの「ゼロリスク」との闘いです。
 日本社会で国家危機管理を職務にしていると、欧米の知友たちと、この難しさがまるで違います。

 それだけに日本の政 ( まつりごと ) には、危機の刻 ( とき ) こそ、そしてとりわけ危機を脱していく段階、すなわちいちばん難しい段階での、強い指導力が必要なのです。
 なぜ、危機を抜け出しつつある時期がいちばん困難なのか。
 社会が危機によって身を縮めたあとに、脱危機が始まるからです。
 なかなか社会が付いて来られません。脱危機が始まっているとことになかなか気づいてもらえません。

 そこを火の粉を被り、非難を一身に受けて、中央突破することが、日本国の内閣総理大臣には、特に求められます。
 今、それが欠けているための、四度目の緊急事態宣言と無観客だと考えています。

 一方で、もしもぼくが今、日本でこうやって仕事をしているのではなくて、メジャーリーグのホームランダービーの観客席にいるのなら、確実に、不織布のマスクをしています。
 周りがひとりもマスクをしていなくても、すぐ他人に何かを言ってくるアメリカ人に「なんでマスクなんかしてんだよ」と言われても、それはまったく関係がありません。むしろ感染症の現段階においては、周りがしていないのなら、余計にしていなければなりません。
 ほんとうは、アメリカの友だちに誘われても、おそらく球場に行きません。

▼欧米と日本の違いは、社会への実効性としては、ワクチン接種の進展の違いがいちばん大きいです。
 これも指導力のあり方に関わると考えます。
 担当大臣を3人に増やすのが、指導力の発揮でしょうか。たとえば行政官 ( 官僚 ) の数は同じなのです。力のある種の三分割、それによる疲弊は不可避です。
 それを議員として目の当たりにしています。

▼もろもろを踏まえたうえで、いつも信念のひとつとして申しているとおり、成功や正の遺産から得るものは少なく、失敗や負の遺産から得るものは極めて多いです。
 不織布のマスクをし、手を丁寧に洗い、そして出来ればゾーニングをする、つまりコストを極めて低く抑えて対応するだけで、毎年、社会を苦しめてきたインフルエンザも風邪もO157も、信じられないぐらい減っているのです。
 ぼく自身を含め、いかなる危機管理の専門家も、それから医学、ウイルス学の立場から感染症に向き合ってきたひとたちも、不織布マスクと手洗いがこれほどまでに実効性が高いとは、この武漢熱の悲惨な経験を経ないと分から無かったと思います。
 これほど自国と世界の諸国で、広範囲にかつ徹底的に、マスクの使用実験、それから手洗いの実効性の確認を行うことなど、中国発の武漢熱というパンデミックが無い限り、不可能だったからです。

 アメリカもイギリスをはじめ欧州も、現状は、やり過ぎです。こちらがゼロリスクなら、欧米はリスクの軽視です。
 ゼロリスク型の日本は今、苦しみ抜き、せっかくの東京オリンピック・パラリンピックも大きく歪められた現実は、もう時間切れで、ぼくらを直撃するでしょう。

 そこから、もう一度、立ち上がるしかありません。
 西暦1964年の東京五輪は、まさしく正の遺産、そして今回は負の遺産となるでしょう。
 負からこそ、立ち上がるのです。
 それがまた、76年まえの敗戦にずっと歪められたままの国家の再建、祖国が甦ることに繋がると、しんと鎮まって考えています。
 武漢熱という感染症で言えば、このまま、感染者、重症者、亡くなられたかたがたが先進国のなかでもっとも少ないことを続けて、いずれ、それをもとにアジアの代表として、中国共産党の暴政にも率先して立ち向かいましょう。

( こうしたことを徹底的に、月刊Hanadaの「澄哲録片片」 ~ ちょうてつろく・へんぺん ~ に記しました )

★さ、仕事に戻ります。
 きょうのホームランダービーは日本の朝だったので、かなり仕事のペースに影響を受けてしまいました。
 ただし、この地味なブログの何気ない発信も、ぼくはおのれの仕事のうちだと考えています。いつも、みなさんと対話していたいですから。





 
  • 前の記事へ
  • 記事の一覧へ
  • 次の記事へ
  • ページのトップへ

 

コメントは原則非公開です。それをご理解のうえ、投稿してください

名前
タイトル
メールアドレス
コメント
認証入力
画像認証 CAPTCHA Image 画像変更

※入力欄はすべて必須です。
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。
※文字化け等の原因になりますので、顔文字の利用はお控えください。

もう一度、コメントがすべて「原則非公開」であることを確認され、投稿ボタンを押してください。

  • ページのトップへ