2021-09-17 20:42:59
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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【推敲し、書き加えました】 現場で見て聴いた、総裁選4候補の立ち会い演説会、その正直な感想はこうです
▼この総裁選において、ぼくは高市早苗候補の推薦人のひとりです。
それでも・・・あくまで公平を期して、ありのままに記します。
会場で、4候補の話しぶり、主張や、ぼくの印象をスマホのメモを使って記録し、自分のパソコンに送っておきました。
その内容の一部をご紹介します。
全部ではありません。
公平にしたいので、実際の発言順です。
▽河野候補
河野さんは、たとえば大臣として本会議で答弁を読み上げるとき、とんでもない甲高い声で、それも早口言葉のようなスピードで読むことがあります。
ほかの政治家には、まずあり得ません。
野党席から、呆れかえる声が出ます。
真意はなんでしょうか。
決まり切ったことだから、早く切り上げたいのでしょうか。
きょうの演説は、そこまでは当然、甲高くはなかったです。総裁選に出ると決められてから、変わった振る舞いは影を潜めていますから。
しかし、かなり、甲高い声ではあったと思います。
総裁選の受付順で、トップバッターだったこともあり、意外に、いくらか緊張されているのかなと思いました。
演説の内容のまえに、なぜ、こうしたことを記すか。
一国のリーダーとは、全人格が問われる存在だからです。
ふだん河野さんに風変わりな挙動があるのは、自由民主党の議員なら、誰でも知る事実です。
総理総裁になられれば、必ずその個性が出てくるでしょう。
それを予感させる声のトーンでした。
そして、中身です。
テレビやネットでご覧になったみなさんは、どうでしたか ?
ぼくは、情緒論が多いことに、すこし驚きました。
そして、河野さんの主張の特徴のひとつは、自然エネルギー・再生可能エネルギーへの深い信頼です。
深い信頼、とは、もちろん河野さんの主義主張に沿って、記しました。
資源エネルギーも長年の専門分野のひとつであるぼくから見ると、深い信頼を通り越して、信仰に見えます。
演説のなかで「再生可能エネルギーで日本のエネルギーを賄うのは絵空事ではありません」という趣旨を強調されたとき、議員席から「絵空事だよ」という声が幾つか飛びました。
ぼくは野次りません。
しかし『絵空事なら、まだマシだ。河野さんが総理になって無理にそれを推進しようとしたら、破壊的なことになる』と考えていました。
なぜか。
たとえば電圧が微細なレベルで不安定になって、旋盤が今と同じように正確に回ることがなくなり、日本の製造の根っこが壊れる恐れがあるからです。
旋盤に限らず、現在の技術は大半、コンピュータ制御の支えがあります。しかし、そのコンピュータにとっても、電力の源がすべて自然エネルギーになれば「不安定」が問題になります。
▽岸田候補
演説の前半では、過去の総裁選でのご自分の敗北を反省し、その反省から生まれ変わって「リーダーにふさわしいのは私しかいない」と今は確信している・・・というセルフ・ストーリーが中心でした。
考え抜かれた末のことでしょうね。
しかし、ぼくは、良かったとは考えませんでした。
20分という時間が限られていました。総裁選の演説ですから、公的な時間です。すべてを国と国民に捧げて話されるべきだったと考えます。
生まれ変わられたということは、どんな国策をいかに力強く進めるかということのなかで表現されると、国民とその代理人である全議員にもっと響いたのではと考えます。
ふだんの岸田さんは、ほんとうに、掛け値なしに、人柄のいいかたです。
ご自分とは違う意見にも、穏やかに耳を傾けてくださいます。
それを無理に変える必要は、むしろ無いと思います。ありのままの岸田さんという人格者が、「決めかねる」というところだけを変える、それが最善ではないでしょうか。
そのあと、ちょっとショックを受けたのは、具体的な政策に入ると、実質的に紙を読みあげておられたことです。
紙を読まないのは、セルフ・ストーリーを語られるときだけでした。
岸田・元政調会長は、実際に政策通です。語りたいことをどんどん、自信を持って紙も見ないで思いのまま語られる、それこそがニュー・キシダではないかと愚考します。
もうひとつ。
「格差に向き合い」と仰いました。
いつもの表現、言葉遣いですね。
しかし格差は、資本主義の自由を破壊し、独裁主義の悪魔のささやきにひとびとを導きかねない、そして、みんなの命まで危機に晒す、極めて深刻なたった今の課題です。
向き合うという澄ました言葉は、格差に苦しむひとにとって、救いになりません。
せめて格差を縮める、小さくする、言い切っていただきたかったです。
▽高市候補
まず、落ち着きがありました。同時に、柔らかさもありました。日本国に女性総理が登場する時代が到来していることを感じさせました。
そして「守ること」という基本がしっかりありました。
その土台の上に具体的に列挙された政策が、「国産ワクチンと国産の治療薬の開発」、「経済安全保障の新しい法体系」、「その具体例として、日本が認めていない秘密特許を認めること」、「 ( 尖閣諸島の防衛に関連して ) 海上保安庁法の改正」、「サイバー・セキュリティの徹底的な確立」、「日本みずからの手による憲法の制定」・・・高市さんの表現そのままではありませんが、項目として、これらを挙げられました。
いずれも、ポイントとして的確だと考えます。
また4候補のなかで唯ひとり、この演説会の9月17日は「北朝鮮が拉致を認めた日」であることを指摘され、拉致被害者の救出への意欲を感じさせました。
ぼくが高市候補の推薦人のひとりでありながら、いくぶん首を傾げたのは、2点です。
ひとつは、「守ること」を主眼に据えつつ、父系一系による皇位継承で天皇陛下のご存在をお護りすることを、語られなかったことです。
このあとの共同記者会見では、男系 ( 父系 ) による皇統の維持を明言されました。
ただ、それは問いに答えてのこと。この演説でみずから積極的に仰ってほしかったですね。
なぜ、仰らなかったのか。
ひょっとしたら「高市は右寄り」「右翼」というキャンペーンを張られていることへの警戒心でしょうか。
しかし、釈迦に説法ながら、天皇陛下のご存在を護るということは、右寄りでも何でもありません。
もうひとつ、「2030年代に小型核融合炉」といつも強調されることです。
ぼくは南フランスの核融合炉 ( 実験炉 ) の組み立て現場にも行っていますが、周知の通り、巨大なものです。
核融合炉の小型版は、MIT ( マサチューセッツ工科大学 ) などが可能性を提示していますが、できると、言い切れる現状にありません。
実は、高市さんのこの主張には、原子力工学の専門家からぼくに幾つも問い合わせが来ています。
さらに9月17日の立ち合い演説会のあと、高市候補の支持者の閣僚経験者からも「あの部分は、どうなんでしょうか」という問い合わせがありました。
あくまで高市候補は、希望と可能性を語られていると思います。
ただ、ぼく自身が一番気になるのは、核融合炉が国産で実用化される見通しが、すくなくとも今のところは無いことです。
前述の南フランスのITER ( 国際熱核融合実験炉 ) プロジェクトにしても、多国籍で、中国や韓国も入っています。
高市候補の真意は、国産の安定エネルギーの確保だと思いますから、新しい原子炉を言うなら小型高速炉、高温ガス炉の方が国産で実用化される可能性があります。
▽野田候補
野田さんも、落ち着きと柔らかさを発揮されていました。
正直、今回の立ち会い演説会では、男性2候補より、女性2候補の方が腹が据わっている感がありました。
野田さんは、昨日やっと出馬表明に至った候補です。
だから、余計に、その落ち着きには価値があります。
ただ、その出馬経緯から、演説の冒頭で「推薦人に感謝」と強調されたのは、岸田さんのセルフ・ストーリーの別バージョンにも感じました。
やっと、ついに、推薦人を集められたというのは、国事ではありません。個人の事情ですね。
野田候補は、他候補への批判が、ほかのひとより鮮明でした。これも出馬の事情と関係がありますね。先行組に追いつくために、あえてそうするという気配がありました。
追いつかないと総理総裁になれないというのは分かります。
しかし、それなら手垢のついた政界の言葉を使わずに、斬新な発想で、一気に追いつけ追い越せとなってほしかった。
野田候補の言葉は、政界で使い古された常套句が多かったと思います。
また子どもと女性に政策を絞っておられたのも、分かります。
しかし、総理になるのなら、それを含めた国策の全体像を語るべきではないでしょうか。
それに「自由民主党にも、他の候補にも、弱者への視点が欠けているから、立候補した」と強調されたのは、ご自身が総理になられると言うよりは、総理に意見・助言なさる立場を目指すひとのように聞こえました。
自由民主党に欠けているものと言えば、中国が尖閣に日常的に武装船を侵入させて日本の漁家がもはや漁をできないのに、中国に抗議するだけの政府にしてしまっていること、あるいはウイグル、チベット、南モンゴルで虐殺まで起きて、香港では圧政が進行していることが世界に露見していながら、中国の名を伏せた決議すら国会で採択できないこと、つまり「国家主権の発揮」が欠落しています。
この欠落は、野田候補にとっては欠落ではないのかなと、考えてしまう演説内容でした。
▽全体
各候補が共通のテーマについて識見、異見を出し合うところが、あまりにも少ないことに驚きました。
日本が現に直面している危機は、武漢熱、中国の異様な拡大主義など、誰の眼にも共通して明らかなのに、そうした共同の課題に対してそれぞれのアプローチを示すところが、ほとんど無かったのです。
日本に、共通した土台、国家観が喪われていることが、知らず知らずに浮き彫りになっていた立ち会い演説会でした。
もしも高市政権が実現すれば、国民が共有できる土台づくりを、根本目標にしてほしいなと、ぼくとしては感じました。
そして高市早苗・新総理なら、そこのところを聴く耳を、ちゃんと持ってくださるでしょう。
▼以上、主権者のなかにいらっしゃる党員・党友のみなさんの大切な選択の足しにしてくださればと思い、時間を費やして、まとめました。
長いエントリーを読んでいただき、こゝろから、ありがとうございました。