On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2022-09-23 15:14:05
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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旧統一教会や国葬だけが問題かのようにメディアが報じる一方で、本物の課題が山積みとなるなか、国会が閉会中とはいえ、夏に初当選した議員を含めて全く姿を見ない議員もいます





▼この2枚の写真の違いが、お分かりになるでしょうか。
 これは連続して開かれたふたつの部会の冒頭を、それぞれ記者団が取材しているところです。

( ※ 部会は、冒頭だけ取材があり、自由民主党の国会議員が議論をしているところは取材ができません。
 その代わりに、部会が終わったあと、部会長が記者団に議論の中身をレクチャーします。
 ただしそのレクの内容は部会長の自由裁量です。正確に、議論が紹介されるとは全く限りません。
 それなのに、レクにだけ依存して、部会に参加していた個別議員に当たろうともしない記者が多くなったなぁと日々、実感しています。
 ほんとうは何があったか。それを自ら知ろうとしないのなら、何のために記者という仕事を選んだのでしょうか )

・・・2枚目の写真では、記者が増えていますね。
 連続したふたつの部会のうち、あとの方では、安倍元総理の国葬もテーマになりました。
 記者時代の経験からして、記者が増えたのはそのためだろうと考えています。
 まるで、この世には国葬と旧統一教会、そのふたつしか問題が無いかのような記者もいる、そういう印象です。

▼きのう9月22日木曜も、国民のみなさんの多くの仕事と同じく、非常に忙しい一日でした。
 酷暑の参院選が7月10日に終わったあと、ありのままに申して、一日の休みも無く、当たり前のこととして働いてきました。国民のみなさんも週休二日制の方もいれば、まったく休みの無い方も少なくないと考えます。

 国会議員はどうでしょうか。
 今は閉会中です。しかし、たとえば自由民主党では日々、部会が開かれ、志のある議員は参加します。 ( 部会は、役員以外は、自由参加です )
 また、臨時国会がまもなく、10月初めに開かれますから、水面下で与野党の折衝も進められています。

 一方で、国会にも霞ヶ関 ( 官庁街 ) にも、とにかく政 ( まつりごと ) が動いているあたりにまったく姿もなく、それでいて地元で有権者と接している様子も感じられない議員も存在します。
 そうした議員も、もちろん歳費は等しく国民の税から支払われ、やがて国会が開会して、登院なされば、主権者・国民のみなさんから沢山の票を得て当選なさったのですから、衛視や国会事務局の公務員、あるいは各省庁の行政官から敬意を持って扱われます。「議員さん」、「センセイ」です。

 その光景を国会内で見るとき、不肖わたしは、鋭い痛みを感じます。
 主権者・国民のみなさんがこの実態を知れば、どう感じられるだろうかと思うからです。

 民間の専門家の時代が長いこともあって、苦しみつつ働く同胞をたくさん見て、知り合い、話し、なんとか苦悩を共有しよう、いくばくかでも解決の扶 ( たす ) けになろうと努めてきました。
 そのみなさんが、こうした実情をほとんどご存じありません。

 わたしは、どんな人の立場も尊重したいと考えて生きています。そのように実践もしているつもりです。
 だから、あまり批判はしたくない。一方的なことを言いたくない。しかし、胸の裡 ( うち ) で、憤りは毎日、感じています。

▼さて、きのう9月22日木曜は、まず「外交部会と経産部会の合同会議」が開かれました。1枚目の写真です。
 それが終わると同じ部屋で続いて、「外交部会と外交調査会の合同会議」が開かれました。2枚目の写真です。

 参加議員には、護る会 ( 日本の尊厳と国益を護る会 ) のメンバー議員がいつものように多いです。
 たとえば2枚目の写真を見ていただくと、写っている議員のほとんどが護る会です。
 外交は、日本では依然、それぞれの国会議員の選挙では票に結びつかないことが多いです。しかし、そういう部会にこそ護る会の議員は多く参加します。

▼テーマは、まずひとつ目の部会では、IPEF ( インド太平洋経済枠組み ) 閣僚会合@ロサンゼルス、それからG7貿易大臣会合@ドイツ・ノイハーデンベルク、さらにASEAN経済大臣関連会合@カンボジア・シェムリアップが相次いで開かれたことです。

 わたしは以下のように政府に問いました。
「IPEFの実態は、TPPから抜けたアメリカがTPPに戻れないためにつくった、実効性の少ない枠組みです。日本はこれに参加していれば良いのではなく、アメリカをいかに実効性のある貿易の協議体に組み入れるかが課題です。
 日本政府はどんな取り組みをしているのでしょうか」

「ASEAN経済大臣関連会合では、中国を組み入れているRCEPについても協議しています。日本がRCEPに中国を参加させることに賛成したのは、中国にルールを守らせるためです。しかし一方で、中国の狙いはRCEPを利用して貿易でも覇権を握ることにあり、共通ルールに加わるためではありません。
 口先ではなく、日本政府が一体どんな取り組みをしているのでしょうか」
 さらに、政府に問いました。
「RCEPになぜ中国を入れたのかという主権者の疑問は強いのです。中国をルールの決定と遵守の場に引き出す意味はあります。しかし、その意味を本物にするためには、どの加盟国よりも日本が中国に対して毅然とした、かつ効果的な働きかけをせねばならない。それができているのでしょうか」

 これに対して政府は「青山議員の発言の通り、中国をルールで縛っていくことを実現していきたい」と述べました。
 こう断言しているのは良いのですが、まさしく口先だけにならないように、不断のチェックが肝要です。したがってこれも、部会の場だけではなく、議員会館の青山繁晴事務所で経済産業省と議論を重ねています。

▼政府の答えは、全体に不充分でした。
 しかし、主権者に選ばれた国会議員が、与党・自由民主党の公式な場でこのように追及することは、大きな意味があります。
 議院内閣制だからです。議院、すなわち国会の側からのチェックは、政府の動きに現実に影響します。
 7年目に入った議員生活で、「努力すれば、効果はほんとうにある」という実感があります。

 また、部会の場だけではなく、ふだんから議員会館の青山繁晴事務所で行政官と議論することも大切です。
 部会に臨む前、そして部会のあと、議員会館の事務室を国民からお借りしていることを活かして、政府の幹部たちと議論を重ねて、ジリジリと動かすことに努めています。

▼続いて、ふたつ目の部会、「外交部会と外交調査会の合同会議」です。
 ここでのテーマは、習近平国家主席とプーチン大統領の首脳会談、次に、G7広島サミットについて、それから、安倍元総理の国葬への海外要人の参列状況でした。

▼わたしは挙手をして発言し、国連総会が開かれたニューヨークで岸田総理が韓国のユン大統領と30分間、話したことを強く批判しました。
 テーマには含まれていませでしたが、外交部会である以上、外交にかかわることは自由に問うことができます。

「ここに至るまでの経緯は、韓国が勝手に『日韓首脳会談の開催で合意』と嘘の発表をし、日本政府が抗議し、韓国政府も事実上、嘘を撤回しました。ところが結局は、NYで、3分ならともかく30分、話している。通訳を入れての30分ではあっても、これでは韓国がそれを利用して、日本は首脳同士の会談に応じたと宣伝することが眼に見えている。
 日本政府は会談ではなく懇談だったと説明していますが、立ち話ではなく、椅子も用意してのことでした。
 韓国は労働者問題でもレーダー照射でも慰安婦問題でも何も妥協していません。
 その状況でなぜ、このような愚かなことをするのか」

 これに対して外務省は「日韓双方は、この懇談での建設的なやり取りを評価し、協議加速で一致しました」と述べました。
 ここで外交部会長が「所用の時間も来ているので、閉会とします」と宣言されたので、会は閉じました。
 しかしそれで終わらせず、この発言をした外務省アジア大洋州局の外交官をその部屋でつかまえて、「建設的とは何のことか。主権者から負託を受けている議員の問いに対して、いい加減なことを言うんじゃない」と強く抗議し、「変な妥協を企んでいるのなら、決して許さない」と通告しました。

▼このあと歩いて、議員会館の青山繁晴事務所へ戻りました。
 不断は昼食が抜きになることが多いですが、この日はどうにか、ワンタン麺を食堂から秘書さんに持ってきてもらって、急いで食べ、国会の経済産業委員会の理事として、委員会運営について、参議院の「委員部」という名の事務局と協議、続いて野党側と協議、その結果について自由民主党の国会対策委員会と電話協議、さらに再び、野党側と協議しました。
 交渉ごとを具体的には記しませんが、わたしが一貫して述べたのは「参議院の独自性を与野党を超えて確保する」ということでした。
 野党側も一定の理解を示してくれました。

▼こうした交渉を続けつつ、チベットの亡命政権が安倍元総理の国葬に参列できないでいる問題について、外務省と議論しました。
 ブログには「何もしないのか」という趣旨のコメントがいつものように来ていますが、こうした水面下の交渉をすべて明らかにしていますと、交渉になりませんし、時間も1日に240時間あっても足りなくなります。現在の1日24時間で到底足りないのが現実です。
 主権者・国民のみなさんへの発信、情報提供と、交渉や議論といった実務をいつも両立させねばなりません。そして、まずは交渉とその成果があってこそ、発信もできます。
 行動が第一です。

 外務省は「チベットの亡命政権を、日本だけではなくアメリカをはじめ世界中のどこの国も亡命政権として公式に認定していないのが大きな壁になっています」と説明しました。
 さらに「亡命政権はインドのダラムサラにありますが、そのインドすら政権として認定していないのです」と述べ、「その理由のひとつがチベットの亡命政権(CTA)みずからが独立ではなく『自治権の拡大』を掲げていることにあります」と指摘しました。
 これは、国際社会の常識とかけ離れた説明ではありません。
 CTAとダライ・ラマ14世猊下の極めて困難な情況を理解しつつ、これからも動くべきは動いていきます。

▼これらに加えて、防衛省と自衛官たちの給与引き上げについて現状を聴取しました。
 自衛官の給与を高くすることは、国防上の重要課題です。

▼それから、経済産業省と、開会が迫る臨時国会案で提出する予定の法案について議論しました。
 いつも申しているように、学者、評論家、コメンテーターは「議員立法」を連呼しますが、議員立法は共産党や社民党まで含めた全会派一致が前提です。
 わたしが共産党や社民党が歓迎する法案を作ることに奔走する、それを主権者・国民のみなさんがほんとうに期待されているでしょうか。

 現実に国政を変えられるのは、議院内閣制を活用し、行政府の行政官 ( 官僚 ) と議論を重ね、良い「閣法」 ( 国会への提出は内閣が行う法案 ) をつくることです。
 褒められなくても、理解が乏しくても、議員で居るほんらいの目的は「国益と国民益に資すること」ですから、その努力を、議員で居る限りはずっと続けていきます。
 これが不肖わたしの人間観に基づく、生き方です。

▼このように公務をこなしつつ、東京コンフィデンシャル・レポート(TCR)第1291号の配信も9月22日に致しました。
 第1号から22年半、たゆまず配信を続けているTCRは来週、日本政治の現況を多角的に内部から問う新シリーズを始めます。



 
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