On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2023-01-12 11:03:21
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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試煉の重なる自主出張  今度は荷物が出てきません  諸国を飛行機で回っていていちばん怖いやつですね  いまホテルで困り切っています



▼いまドイツのボンの現地時間で、1月12日木曜の午前3時04分。
 日本時間で、同日の午前11時04分です。
 ボンは北緯50度、日本で言うと樺太の真ん中あたりですから、寒さはお分かりですね。

 ボンの空港で荷物が出てこなかったのですが、いまホテルの部屋で仕事をしていて、いつまでも背広を着たままでは心身がよけいに疲れてしまうので、やむを得ず、裸にバスタオルを巻いています。
 ホテルは正直、あまりいいところではなくて、室温を上げたくても、あまり上がりません。

 最近、忙しくても鍛錬を再開していたので、筋肉がいくらか付いています。そのおかげで何とか耐えられる気がしていますが、問題は仕事のあと、短くても仮眠をするときですね。
 もちろん体温を知らないうちに奪われます。

▼日本からまず、ボンよりもっと高緯度、北緯59度のストックホルムに着きました。
 日本の樺太からすこし目を右に、東に向ければ千島列島ですね。
 その北端、占守島 ( しむしゅとう ) がボンと同じ緯度です。
 それより北方、ずっと緯度の高いストックホルムになるともう同じ緯度、すなわち高さに日本はありません。荒寥たる冬のオホーツク海です。

 そのストックホルムに着いて、久しぶりの美しい国スウェーデンに入国しようとしたら、スウェーデンのパスポート・コントロールの担当官がおそらくは偏見込みの暴言を吐き、長時間、入国できませんでした。
( 現在、スウェーデン政府に正式に抗議中です )

 自力でそこを何とか突破しましたが、ホテルの部屋に入ると、もう真夜中。
 早朝からの仕事に備えて、もう一度準備すると同時に、会員制レポートの東京コンフィデンシャル・レポート ( TCR ) の第1316号も完成させました。

 仮眠のあと気力で、早朝からまず仕事ひとつをこなし、そのあと午前9時20分に、スウェーデン政府の原子力規制当局であるSSMを、同行の研究員 ( このエントリーで述べたように優秀な女性 ) と共に訪ねました。

 そして、ロシア軍がウクライナのチョルノービリ原発、ザポリージャ原発をいずれも軍事攻撃するという未曾有の事態に、ロシアの隣国である日本でも備えるために、同じくロシアの脅威に直面しているスウェーデンの当局者・専門家たちと、いつものように英語で直接、かなりの長時間、現在とこれからの対策を議論しました。

 このブログのような公開の場では決して明かせない秘の議論ですが、非常にたいせつな内容を赤裸々に議論することができたと、専門家のひとりとして、同時に日本の国会議員として客観的に考えています。

▼そこから空港に向かう途中、運転手さんが、ぼくの大好きなストックホルムの市庁舎、みなさんにはノーベル賞の授与式でお馴染みの場所がみえる湖のほとりに連れていってくれました。

 写真でお分かりでしょうか。雨が降っていて寒いのですが、本来はこれは雪のはずです。
 ショックだったのは、湖が凍っていないことです。
 この季節のストックホルムで、この湖が凍っていないのは、ぼくは初めて見ました。

 写真の運転手さんに聴くと、「その通り、2週間前まではふつうに全面、凍っていて、みんなが歩いていたよ。そしたら急に融け始めて、この通りさ。世界の終わりだね」と、味わいのある英語で答えてくれました。



▼連携して同行している、独立総合研究所の専門性豊かな女性研究員も、寒さに耐えてくれています。
 もう一度、申します。こうして共に日本と日本国民の安全のために、利益なく、遠い北の地で努力しているのです。
 研究員がたまたま、女性だからといって、「青山が奥さん以外の女性と海外旅行をしている」などと、愚かなことを言うのを、やめてください。

 それは、最悪レベルの女性差別のひとつ、すなわち女性の仕事も何も見なくて性的対象としか見ていないことの表れです。

( いつも繰り返し、申しているように、ぼくは7年前に初めて参院選に参加している途中に、みずから決断して、独立総合研究所の代表取締役社長・兼・首席研究員を辞め、創業者株も全株、無償で返上しています。
 今回の出張は、ぼくの専門性と独立総合研究所の専門性を噛み合わせて、より効果的に国益に資するために連携しています。
 政府を突き動かすための自主的な出張なので、費用はぼくの部分は、ぼく個人、独立総合研究所研究員の部分は、独立総合研究所がそれぞれ自己負担しています )

▼そして空港に再び、向かうとき、宮殿のまえを通りました。
 ぼくはかつて王宮を夜中の3時に訪ねてみて、死ぬのかと思うほどの酷寒のなかで王の衛兵が、大きな眼の睫毛から細い氷柱をびっしりと垂らしながら屹立しているのを見て、深い敬意を捧げました。
 すると運転手さんが、「ちょうど衛兵の交代式だよ」と仰るではありませんか。

 フライトの時間を気にしながら、交代式を待ちました。



▼写真では分かりませんが、実際は、かなりの雨です。



▼王の旗と、国家の旗を掲げた、美しく凜々しい衛兵の交代式です。
 女性が増えました。
 そして軍の太鼓を叩くのも、女性の衛兵でした。
 ひげ面の男性の衛兵が鳴らす、軍のトランペットと、みごとに調和していました。
 そのトランペットの高らかにして哀切な音色は、帝国陸海軍や自衛隊のそれとも、深く共通しています。



▼このスウェーデン軍は、印象鮮やかな儀式だけではなく、何世紀にわたりロシア・ソ連の脅威と対抗してきたリアルな軍事力でもあります。

 朝のSSM ( 前述 ) との安全保障をめぐる議論、原子力エネルギーをテロだけでは無く、軍事攻撃からも防ぐための議論を思い起こしながら、空港に向かうと、深い疲れが噴き出してきました。

▼その疲れにどうにか耐えつつ、まずスウェーデンの首都ストックホルムから、オーストリアの首都ウィーンに向かいました。
 ウイーンで乗り継いで、ドイツのボン ( 前述 ) に入りました。西ドイツの時代には、首都でした。

 心身の疲労と、寒さとの戦いです。
 機材はいずれも、狭かったです。
 パソコンを使えるところでは、東京コンフィデンシャル・レポート(TCR)の第1317号を書き始めました。

 ところが、ようやく着いたボンで荷物が出てきません。
 飛行機はもちろん、日系、すなわちANAでもJALでもありませぬ。
 同行の女性研究員の荷物が無事に出てきたのは、ほんとうによかったです。
 いまホテルの一室で、昼とはまったく違う寒さと、バスタオル1枚で戦っています。

▼こういう無償の努力のさなかに、誹謗と中傷をぶつけ、あるいは垂れ流しているのは、楽しいですか ?
 それとも、あなたさまの利益のためですか ?
 そんな利益が身につくと思いますか ?

▼この海外出張の中でも、「青山繁晴チャンネル☆ぼくらの国会」の取り置き分を、アップしています。

▽安倍元総理の暗殺事件について追及を続けているのは、これです。
 この動画に関連して、おそらくは悪意はなく、こんなことをコメントで書いてきた人がいらっしゃいます。

~ (前略)
イーロンマスクが言ってましたね。
「これまで陰謀だと思われていたことのほとんどは事実だった」 と。
先生はどう思われますか ? ~

 は ?
 イーロンマスク ?
 そんなことを、この人物がほんとうに言ったかどうかぼくは知りません。彼の発言を検討しなければらないとはまったく思わないからです。
 億万長者だろうが、長者になることを望まないぼくには、関係がありませぬ。

 そして、冷厳な事実に反する陰謀論議、事実経過を誤認し陰謀のせいにする議論は、多々あります。
 ほとんどリアルな事実だった、などということはありませぬ。
 もっとも、このコメントの「ほとんど」とは何を指すのか、定かではありませんが。

 悪意ではない、善意からの書き込みだろうと信じようと努めています。ただ、疲れが倍加するようなことを、できればわざわざ長文で書き込まないでいただけないでしょうか。

▽すべての疑問に、すべて数十秒で、事前の摺り合わせなく答えているショート動画も、次々、精力的に更新しています。
 ここです。

▽機密情報こそを、厳しい限定条件のもとで共有するのが、前出の東京コンフィデンシャル・レポート(TCR)であり、独立講演会です。
 独立講演会@神戸は、今ここで募集しています。
 帰国後すぐにも、この独立講演会を東京で開き、4時間半ほど立ってお話をします。

▽そして、この報われざる日本男子を、正直、とびきり励ましてくれるのは、命を削りに削って書きあげた新しい小説「夜想交叉路」がひとりでも多く、読まれることなんです。
 リアルな書店のネット出店、例えばここを見てくだされば、それだけですこし嬉しいです。読んでくだされば、飛び上がるぐらい嬉しいです。

 このネット出店では、すこしまえに大量530冊が準備されてびっくりしました。
 いま見たら、すでに残り189冊になっています。

 つまりは、新たに341冊が読まれたのかも知れません。
 寒さと現状を忘れる・・・わけではありませんが、魂の奥底から、あたらしい力が湧いてくる心境です。
 あったまらない部屋で、事実上、裸で仕事を続けていても、ね。
 わっはっはあ。
 こうやって味方もいるんだ、共感し、連帯する同胞も、いるんだ。







 
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