2023-01-19 17:55:41
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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ホワイトハウスの一見、何気ないような変化に、アメリカと世界の苦しみが表れています
▼ホワイトハウスに塀か柵があるのは当然です。
しかし以前は、この柵、すなわちホワイトハウスの庭と直結している柵まで、誰でも、国籍も問われず、触ることができました。
この柵を両手で摑めば、もう視界に柵は入らず、眼前にはホワイトハウスが遮るものなく身近に存在していたのです。
▼ぼくは一度、良き機会があって、大学の教え子をここに案内したことがありました。
「こんな、目の前にホワイトハウスが、遮られずに見られるなんて」と感激していました。
▼現在は、こうです。
上掲の前からある柵と、訪問者のあいだに新しい柵ができて、このように立入禁止ゾーンが広がっています。
上の写真もきのう撮った最新の写真ですが、それは撮り方の工夫であって、今の現実はこうなのです。
写真の左隅に見えているのは、警備の警官隊です。
スマホで撮った写真の写り具合で、立入禁止ゾーンは実際より広大に見えてはいます。
しかし、アメリカの主権者、それから世界各国の主権者と、ホワイトハウスの間にできてしまった溝を考えれば、この写真を没にする理由はないと考えました。
▼その立入禁止ゾーンから、真後ろを振り返ると、いつものワシントンDCの変わらない整然とした都市風景が広がっている・・・ように見えますね。
しかしほんとうは、手前のジャクソン第7代大統領の像は、トランプ大統領の時代に、ロープや鎖が掛けられて斃 ( たお ) されようとしました。
ジャクソン大統領が大量の黒人奴隷を抱えていたことや、先住民を虐殺したことが理由です。
トランプ大統領は、これに厳しく対処しました。
警官隊で実力排除し、厳罰化も表明しました。
一方でトランプ大統領は、その後の政権末期に、同じワシントンDCの上下両院の議事堂への乱入事件を引き起こした疑いで、たった今も烈しい追及を受けています。 ( トランプさんは、最終的にはむしろ止めようとしたのだと主張されています )
▼アメリカは、その民主主義が国民に身近であることが特徴でした。
ホワイトハウスの前の立入禁止ゾーンは、それが喪われつつある危機の象徴です。
ぼくは民間の専門家時代から冒頭写真の柵の右端にある出入り口から、許可を得てホワイトハウスの構内に入り、国家安全保障会議 ( NSC ) のメンバーと議論を重ねてきました。
今回は、ミッション ( 任務 ) が違っていて、核セキュリティに特化させた出張です。
だからホワイトハウス構内には入りません。つまりホワイトハウスに所用はありません。
しかし、この変化が気になって、トンデモ日程のなかで5分だけ使って、ここへ来てみました。
▼たった今の世界は、独裁主義と民主主義の、新段階の対決です。
ぼくの今回の無茶な出張も、そのさなかで民主主義の勝利を喪わないためです。
今のぼくは、楽しいことがゼロです。
いや、「夜想交叉路」が読まれる楽しみがあります。
しかし仮に楽しみも休息も、報いも、ゼロであっても、天が帰ってこいと仰る、すなわち死がおとずれるまでは、元気に飛び跳ねてみせます。
坂本龍馬さんは、暗殺されるとき、朋友の夢に現れて何やら元気に飛び回っていて、やがて、ふっと消えたそうです。
ワシントンDCは午前4時25分。
祖国のみなさんは、そろそろ夕食の時間ですね。