On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2023-03-06 13:51:43
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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そもそも根幹が間違っている  しかし絶望したらおしまい



▼第二次大戦中の朝鮮半島出身の労働者をめぐる問題で、「賠償金を求める元労働者に、日本企業が払うべきおカネを、韓国の財団で肩代わりして払う」という韓国政府の案を、日本政府が歓迎するのなら、それは「日本企業が戦前の日本政府と組んで朝鮮半島のひとびとを酷い強制労働に従事させた」という虚偽の韓国の主張を、認めたことに直結します。
 日本はそういう国だと、またしても世界にみずから喧伝するのと同じです。

 日本の主権国家としての正義が実現されず、日本国民を裏切ることに加えて、世界の諸国に与える外交的損失の大きさを考えると、仮に「日韓関係の改善」があったとしても、現実的な選択としても、間違っているのです。

▼そんなことも分かりませんか、という話です。

▼不肖わたしは、この事態をずっと懸念して、外務省のなかで見込みのある行政官・官僚に働きかけ、時の総理にも直接、諫言 ( かんげん ) を僭越ながら繰り返し申しあげてきました。

 そして昨年8月、すなわち安倍元総理が暗殺され、1期6年で議員を辞めたかったわたしがやむを得ず2期目の選挙に臨んだ、その翌月に、写真のように、米国ハワイ州真珠湾の米軍インド太平洋軍司令部 ( インド・ペイコム ) をいつものように自主・自費による出張で、訪ねました。

 知友のアキリーノ司令官は南方へ出張中で、参謀長や、太平洋艦隊司令官らにお会いしました。
 なぜか。
 アメリカが日本に絶えず、「日韓のあいだで、昔の話をめぐって喧嘩するのをやめろ」と圧力を掛けてくる理由の、大きなひとつが、軍事的要因だからです。

▼アメリカ軍は、中国軍にいかに向かい合うか、台湾侵攻をいかに未然に阻止するか、ここに今、全力を挙げています。
 すでに海軍の艦船数などの物量では、中国軍がアメリカ軍を上回ったという見方が、米軍や国防総省内部にある実状です。
 そのときに日米韓の軍事同盟のなかで、日韓が割れているのは、アメリカにとって頭を抱える事態なのです。

 だからもちろん、アメリカは韓国にも「昔の話を持ち出しては、日本との関係を悪くするのをやめろ」と強く迫り続けています。
 だから先の韓国の大統領選では、反日をやわらげる可能性のあるユン候補に、内政干渉にならないように慎重に対処つつテコ入れをし、ユン候補は実に得票率の差が1%もない、0.7%という、ほとんど誤差のような僅差で大統領となりました。
 アメリカの非公式な支えがなかったら、一体どうなっていたでしょうか。

▼韓国に対するアメリカの「日韓関係の改善を」という要求は、日本に対するよりもさらに強いと考えるべきです。

▼もろもろを考慮し、わたしはアメリカの圧力の根っこにある軍部を直接、訪ねて、「アメリカは若い国です。アジアの歴史は、アメリカのそれの10倍以上の長きにわたります。朝鮮半島と中国大陸の根深い歴史への理解が足りない。日米韓の軍事同盟で、中国に対峙できるという単純なことではない。韓国は根本的に、太平洋の向こうのアメリカよりも、地続きの中国に回帰する水面下の動きがある」と指摘しました。

 米軍の側が何と答えたか、何を話したかは、一切、明らかにしません。
 また、わたしが話したことも、上記はごくごく一部です。全体を、この公開情報のブログで明らかにすることはできません。

▼しかし日本の賢い主権者に分かっていただきたいのは、すべて事には、こうした構造的な原因、動機があるということです。
 わたしたちはそれを冷静に見つめる、見抜く眼を、一緒に持っていましょう。

 このブログには、懸念してきたとおりに、「絶望した」、「失望した」、「青山さんのところを通じて自由民主党員になっても意味が無い」という書き込みが、どっと溢れています。
 よおく分かります。

 わたしも、できるなら同じことを申して、膝を抱えていたい。
 しかし、どうでしょう、わたしは自由民主党の中にあって、このように真っ直ぐ、主張し続けています。
 それを認めるのもまた、自由民主党です。

 そして新しい議員集団である「日本の尊厳と国益を護る会」 ( 護る会 ) もすでに動いています。

 絶望したら、そこで、おしまいです。
 日本がやがて再起することだけを信じて、ひとつしか無い命を捧げてくださった、英霊のみなさま、あるいは沖縄の白梅学徒隊のような少年少女のみなさま、その御霊 ( みたま ) と共にあって、泥の中を、底なしの泥と承知のうえで、歩き続けます。
 どうぞ、わたしの背中の上に乗っかってください。一緒に歩けるひとは、どうぞ気を楽にして、わたしと手を繋いで歩いてください。

 今のところは、まだ歩けます。
 わたしは、たぶん意外でしょうが、我慢強いことが、数少ない取り柄です。






 
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