On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2023-04-02 13:06:52
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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【写真を挿入し、追記しました】  ウクライナ大使に「戦争の話ばかり」と問うた野党議員



▼先日、ウクライナと日本の友好議員連盟の会が、国会内で開かれ、ウクライナのコルスンスキー駐日大使をお招きしました。 ( 写真の名札は、隣の公使です )
 この議連は、超党派です。



▼大使は、日本の国会議員が先進国の国会議員としては例外的に、大半が英語を話さないことをご存じです。
 そこで通訳を伴い、ウクライナ語でお話しになりました。

 しかし大使は、大使の任にある人として当然、国際共通語である英語を話されます。
 また、有能な通訳さんでしたが、どうしても通訳を挟むと議論に無駄な時間がかかり、それだけではなく、やや間接的になって間延びします。

 わたしは、大使の眼を見て、通訳を介さず直接、英語でいくつか質問しました。
 大使は、とても重要なことを、わたしだけではなく出席の全議員のために、いつものように悲壮な熱情を込めて話されました。



▼岸田総理がウクライナを訪問されたときに、「殺傷能力のある武器は提供できないが、支援する」と仰ったことをめぐって、コルスンスキー駐日大使は「日本のトラックを送ってもらえれば、戦う軍の必要物資を運べるし、傷ついたウクライナの市民を含む負傷者も運ぶことができる。世界一、優秀なトラックだから壊れない」と具体的に強調されました。
 そして「右ハンドルだから、運転席は左にいると思い込んでいる兵士が多いロシア軍に、運転手が狙われにくく、運転のできる兵士の消耗が減る」と、さらに具体性の高いポイントを仰いました。

 ロシア国内は、右側通行の左ハンドルですが、日本の中古車がたくさん輸出されていますから、右ハンドルの車も走っています。
 しかしそれでも、基本は左ハンドルです。
 だから不当な侵入者であるロシア軍の狙撃兵が、運転手を狙って撃つときに、左側を狙うことが多く、そこに乗っていたウクライナ兵は死ぬか負傷しますが、運転手は残るという、極めてリアルな祖国防衛の話です。

▼ところが、こうした質疑が続いたあとに、野党の議員がこう聞いたのです。
「戦争の話ばかりだが、私は平和の話をします。なぜ、子供を戦地から避難させないのですか」
 日本語の質問です。

 わたしは茫然として、この存じ上げない野党議員の横顔を見ました。
 侵略者とまさしく戦って、苦しんでいる国の特命全権大使に「戦争の話ばかりだ」とは、一体なんでしょうか。
 個人を攻撃しているのではなく、敗戦後の78年間、日本はずっとこうした「平和教育」を続けて、こうした信じられない感覚で平然としている政治家がいて、それを選ぶ有権者がたくさん、いらっしゃるのです。

▼大使は、通訳さんが訳すのを聞きながら、次第に憤激が、その内心にこみ上げている様子がわかりました。
 そのツィッターに、11歳の子供の赤い毛糸の帽子に、銃創なのか、破片の直撃なのか、不規則な穴がたくさん開いている写真をアップされています。
 この子の頭から、帽子よりも、もっと赤い血が大量に喪われたでしょう。

 しかし、祖国を代表している大使ですから、怒りを抑えて、お答えになりました。
「子供を親から無理に離せと仰るのですか。避難を希望する人は、たくさん、国外へも避難しています。しかし避難を望まない人を、強制的に動かしてはならないという法律もあります。ウクライナは民主主義の法治国家です」

 わたしは、議連が終わったあと、大使に近づいて、深い感謝と、熱い支持を述べました。

▼みなさん、この頃は、こうした大切な、印象深いできごとを動画の「青山繁晴チャンネル☆ぼくらの国会」で話しても、一部のひとしか、ご覧になりません。
 撮影と編集の協力をしてくださっている、井上ディレクターによると「特定の対象を攻撃、批判する動画ばかりが、もてはやされています」とのことです。

 わたし自身は、ほかの動画を見る時間がどうしてもとれませんが、井上ディレクターは、何かを誇張したりする人ではありませぬ。
 ひょっとしたら、日本社会は、どんどん絶望の淵へ、向かっているのかもしれません。

 それでも、わたしは語るべきを語ります。
 時流におもねたり、流されたり、おカネと利益を求めたりいたしませぬ。わたしは動画のスポンサー料も 1 円も受け取っていません。はっきり申し上げます。アクセス数とスポンサー収入目当ての動画とは根本的に違います。

★【第498回放送】
 沖縄の先島諸島の与那国島と、波照間島は、目の前の海に中国から弾道ミサイルを史上初めて撃ち込まれたにもかかわらず、岸田政権が国家安全保障会議も開かなかったことから、ずっと沈黙なさっていました。
 ところが、不肖わたしが「北朝鮮がミサイルを撃つと政府は大騒ぎするが、中国が撃つと、国家安全保障会議も開かない。これは許しがたい。そうではありませんか」という趣旨で問うと、与那国町の糸数健一町長が、抑えに抑えていた怒りを噴出させ、ついに「 ( 中国に ) そんたくするな」と叫びました。


 それは、ここです。

★★【第499回放送】
 先の中露首脳会談で、習近平国家主席とプーチン大統領は、公然と、福島の処理水を汚染水と呼んで「深刻な環境への影響がある」と根拠のまったくない非難をし、それをはじめ、日本に対する虚偽の非難を、正式な中露共同声明に盛り込んでいます。
 ウクライナ戦争で西側に立つ日本への、嫌がらせです。

 外交部会で、わたしが「抗議したのですか」と問うと、「抗議とかそういうことよりも、ご説明をしています」という答えです。
 こりゃ、あかん。



 その動画がこれです。

★★★【第500回放送】
 日本についに、JCIA、つまりCIAの日本版ができるのかっ、という重大な問題です。



 自由民主党の経済安全保障推進本部などの合同会議で、党から政府への提案に「国家安全保障局をつくることが抜けている。困難を乗り越えて盛り込むべきだ」と発言しています。
 杉田水脈代議士(護る会メンバー)が珍しく間近から撮ってくれました。
 ちなみに、それでもまったく気づきませんでした。
 会議の首脳陣を説得することに、集中しています。

 この動画は、これです。この提案がどうなったかを、ご覧ください。

 ちなみにこれは、第500回放送ですね。
 第1回から、2年9か月、すさまじく過密になっている日程の、そのわずかなスキマをまるで曲芸のように活用して、よくぞ、収録を続けたと思います。

▼わたしは、戦います。
 疲弊しようが、呆れ果てようが、矢弾 ( やだま ) つきるまで、戦い抜きます。

 国のため 重きつとめを果し得で 矢弾尽き果て 散るぞ悲しき

 硫黄島の戦いで、よく戦い抜いて、36日間持ち堪 ( こた ) え、米軍の本土への爆撃強化を遅らせた、栗林忠通陸軍中将が突撃で戦死するまえの辞世です。
 矢弾を送ってこない大本営への怒りが、静かに抑えられて、表されています。
 当時の将軍が「悲しき」という表現を使うのは、まことに例外的です。

 わたしには、現代の玉砕が待っているのかもしれません。
 しかし、それが何でしょうか。
 もはや、どうということも、ありませぬ。






 
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