On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2023-04-03 18:56:03
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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英霊はいまも水を求めて渇きを訴えられています  硫黄島の今 その1





▼写真は、先日、硫黄島でおこなわれた日米の合同慰霊祭の始まりです。
 かつては、目を覆う悲惨な死闘を続けた日米が、ともに互いを讃えあい、永遠の友情を誓いあう。
 これは硫黄島以外に、世界にありません。

▼硫黄島の戦いとは何か。
 硫黄島は、第二次大戦の末期に、米軍が広島、長崎へ向かう爆撃機も含め拠点とした北マリワナ諸島と、東京の、ちょうど中間にあります。
 そして硫黄島は、東京都に属する島です。

 米軍は硫黄島を占領し、爆撃機の飛行場にして日本本土への爆撃を強化し、日本女性を皆殺しにして「もはや子孫が生まれない」という恐怖に日本が襲われ、降伏することを狙いました。
 それを察知した帝国陸軍の栗林忠通中将は、日本への爆撃を遅らせ、生き残った女性から子孫が生まれることだけを願って、2万1千人の同胞の帝国日本軍を指揮し、アメリカ軍と戦いました。

▼西暦1945年、昭和20年の2月から3月、前述のとおり戦争末期でしたから、日本の職業軍人はすでに大半が戦死していて、わずか1千人しか硫黄島の戦いに参戦できませんでした。残りの2万人は一般人の、ふつうの日本男性だったのです。
 子供が育ち盛りのひとも多かったことが、分かっています。
 その子供と奥さんを残して硫黄島に集められた日本人が、第二次大戦で唯一、日本軍の損害よりアメリカ軍の損害が上回る死闘、健闘を続けた末に、玉砕したのでした。

 ところが、故郷にご遺骨として戻れた英霊は、およそ半分のかたがただけです。
 おおむね1万人もの同胞が今も、灼熱の硫黄島に取り残されています。

▼大戦で命を失った同胞のご遺骨は、海外にも多数、取り残されたままになっています。祖国のために戦った米国人のご遺骨は、ひとり残らず取り戻そうとするアメリカとはたいへんな違いです。
 なかでも、硫黄島は、最初に述べたとおり東京の島なんです。東京都小笠原村の島です。
 海外のご遺骨については、たとえば北朝鮮や中国のように、その国の政府と交渉するのが困難なケースもあります。
 しかしなぜ、東京の島のご遺骨を見つけられないのか。

 わたしは民間の専門家の時代からずっと、この問題に取り組んできました。
 わたしの活動をご存じのかたには、周知の事実であり、一方で多くの人はご存じないことです。
「ぼくらの祖国」、「ぼくらの死生観 英霊の渇く島に問う」という、硫黄島に関連する本も出していて、よく読まれました。
 現在のように『政治家の書いた本なんて、きっと、ろくでもない』という偏見を受けていませんから、「ぼくらの祖国」は22刷に達しました。
 ここではもう、詳しく述べません。何度も何度も話してきて、もう・・・今夜は正直に言わせてください、疲弊しています。
 申し訳ないですが、関心のあるかたは、上記の本を手に取ってみてください。宣伝じゃありません。日本の生まれ変わりを信じて、刻むように書いた本です。

 硫黄島をめぐる深刻な問題のなかでも、民間専門家の時代からずっと指摘し、奇怪な中傷誹謗も受けてきた『問題』があります。
 それは、英霊が滑走路の下で踏みつけにされているということです。
 わたしが、これを指摘し始めたときは、他にこれを言う人が居ませんでした。

 現在では、防衛省も、厚労省も、外務省も、そして自由民主党の議連、前述の栗林中将の孫である新藤義孝・元総務大臣が幹部を務め、わたしもいま参加している議連も、「島中を探し尽くしたから、1万人ものご遺骨は、滑走路の下にしかない」という結論で共通しています。
 滑走路の引き剥がしは、わたしに深く共鳴してくれた安倍総理の時代の試算でも、400億円から500億円、かかります。
 今後の工夫でこの試算は変えられる可能性もありますが、各省や議連が気にしているのは、海底火山島の先端である硫黄島、想像を超えた灼熱の島である硫黄島で、滑走路を引き剥がして、もはや80年近く前のご遺骨が無事に見つかるかどうかなのです。

 もしも、あまり見つからなかったら、納税者である国民に申し訳が立たないうえに、前述の奇怪な中傷誹謗をする勢力が大喜びで、新たな中傷の好材料にするでしょう。
 だから防衛省も、厚労省も、さらに外務省、それから財務省もみな、腰が引けているのです。
 新藤さんが頑張る議連も、長く取り組んできたわたしも、これら各省を懸命に説得していますが、「叩かれるのは困ります。中傷誹謗も理由なく襲ってきますから、怖いです」と、旧知の防衛官僚はわたしに正直に漏らしました。

 もう、やめませんか。
 おかしな中傷誹謗は。
 それも、英霊の帰郷を妨げている事情のひとつであることに、静かに考えを巡らせていただきたいと、願います。











▼それこそまさしく、中傷誹謗を怖れず、わたしの祈りを誰かが撮ってくださった写真をすべてアップしました。
 日米両軍の合同の慰霊碑に向かって、わたしたちが生まれ来るように戦ってくださった英霊に感謝を捧げ、米軍の犠牲者にも慰霊と、現在の奇跡の友情への感謝を捧げ、次に、2万1千人の同胞があれほど飢えた、冷たい水を捧げ、そして最後に思わず、空と海を見つめました。

 見守ってくださったのは、議連のひとびとです。
 左から、護る会メンバーの桜田義孝・元五輪担当大臣、長年の友達で立憲民主党の松原仁・元拉致問題担当大臣、わたしのふるさと兵庫県選出の藤井比早之代議士、そして國場幸之助・自由民主党国防部会長(1枚目の写真の右端に、すみません、頭だけが見えます)のかたがたです。

 東京のはるか南の空は、悲痛なまでに青く、凄まじい物量でアメリカの侵略軍が上陸してきた海も、きょうは果てなく静まり青く美しいのです。

 みなさん、誰かにぶつけて解消したいストレスも、意見の違いもあるでしょう。
 しかし、そろそろ、一致点を見つけませんか。
 硫黄島に取り残されている英霊も、ふるさとにお帰りになった英霊も、それをきっと望んでおられます。

 もう数え切れないほど訪れた硫黄島ですが、今回は初めての言葉を、英霊からお聞きしたと思いました。
 それは、この「硫黄島の今」という、短いシリーズにするつもりのエントリーの最後に、お話しする・・・かもしれません。
 今夜は、ただただ、悲痛苦を感じます。
 これでも精一杯、時間をかけてお話ししたつもりですが、この夜はこれ以上、硫黄島のことを、お話しできません。

 硫黄島の英霊を故郷に取り返せないで居ることを考えると、刺すような悲しみや、外には出さない憤怒が、わがこころに押し寄せる夜です。
 なんで、すなおにみんなで一致して、同胞を取り戻せないのでしょうか。
 拉致被害者を取り戻せないことにも、つながっています。
 国論が一致すれば、上記の予算の400億円から500億円は、拠出できます。

 なぜ国論が一致しないのか。
 誰かを非難したり、揶揄したり、愚弄したり、貶めたり、嘘をつかって非難したり、ご自分は安全圏にあって苦労し努力し戦っている同じ日本人を批判することは、もう、いいです。
 そろそろ、みずからお考えになり、やめませんか。

 その夜にあっても、みなさんに今、伝えるべきことを動画にして、一生懸命に、アップしました。
 中国とロシアがいったい、ほんとうは、どんな関係なのか。
 それが日本の近未来も左右します。恐ろしいほど、影響します。
 そこで「習近平国家主席に馬鹿にされたプーチン大統領」をここにアップしています。

 こんな堅い話ですが、なるべく柔らかくして話しています。できれば、視てくださいませんか。





 
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