2023-09-30 03:27:14
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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核シェルターの非常脱出口から、実際に、出てみました
▼9月28日木曜の朝9時すぎ、筑波にある核シェルターのモデルハウスを訪ねました。
これはNPO法人「日本核シェルター協会」が設置されている、しっかりしたシェルターの、いわばショールームです。
自由民主党の「シェルター議員連盟」による訪問です。
わたしはその朝、5時台にニッポン放送に入りラジオの生放送に参加していましたから、議連の借り上げたバスに乗ることができず、ひとりで向かい、現地で議連のバスの到着を待って合流しました。
▼写真は、地下に設置された核シェルターの室内です。
入るのは、地下に降りる階段 ( ただし急階段 ) をふつうに降りるのですが、室内には緊急時のための非常脱出口もあります。
その脱出口の前で、核シェルター協会のかたが説明なさっています。
▼説明を聴く、シェルター議連の議員の面々です。
地下に設置したシェルターにとって、非常脱出口は大切な基本設備のひとつです。
核攻撃や、生物兵器、化学兵器、いわゆるNBCによって地上が汚染されたとき、こうした地下シェルターは決定的に重要です。
一方で、そのシェルター内が何らかの原因で危機的状況となったときに通常の階段が使えない場合には、非常脱出口が使用可能でなければなりません。
▼この非常脱出口が実際に使えるかどうか、試すことが必要です。
そこで協会のかたにお願いして、非常脱出口に入ることをOKしてもらいました。
協会から提供されたヘルメットを被ることが条件です。
▼地上に出てきたところです。
いちばん上の写真にある、地下シェルター室内の脱出口へ、まず身体を屈めて入ると、左の壁に垂直のはしごがあります。
かなりの高さです。潜水艦の艦内深くへ入るときの、はしごに似ています。
そのはしごを手と足で登っていきます。
地上に出る直前に、掴まる手すりがあり、それを確実に掴んで身体を引き上げ、地上の口から出ることができました。
造りはしっかりしています。
こうやって非常脱出口がちゃんと設置されていることも、僭越ながら評価します。
一方で、みなさんもお気づきのように、身体にある程度以上の柔軟性がないとまずなかなか地下の脱出口に入れませんし、手足にもある程度の力がないとはしごを登れません。高さに恐怖を感じる人も居るでしょう。
したがって実際の運用には、以下の手順が最低限、必要です。
( 1 ) まず最初に登る、登れる人を、地下のシェルター内であらかじめ決めておく。
( 2 ) 地上の脱出口内に、ロープを常備しておく。
( 3 ) 地下のシェルター内で、そのロープを、登れない人の身体に確実に巻く練習をしておく。
( 4 ) 実際に非常脱出口を使わざるを得なくなった時は、あらかじめ決めておいた人がNBCフィルター付きのマスクをして登り、地上の様子を確認したうえで、ロープを降ろし、ロープの必要な人から同様にフィルター付きマスクを着用して登り始め、すでに登っている人がロープを確保して落下事故に備える。
( 5 ) その際に、身体が硬かったり障害をお持ちの人であっても地下のシェルター内の脱出口に入れるように、介助する人も決めておく。
( 6 ) 最後に、介助した人がシェルター内に誰もいないのを確認して、登る。
つまり、シェルターは設置するだけでは無く、一定以上の訓練が必要だということです。
▼実際に登った議員は、わたしひとりでした。
意外でした。
▼こうやってシェルターを見せていただき、議連の共同代表らが地上波のテレビ取材に応じたあとに、質疑応答がありました。
多くの議員にこのあと東京での日程がありましたから、質疑応答はとても短かったですが、聞かねばならないことを聞きました。
・民間の専門家時代から「核を持つ独裁国家に囲まれながら、シェルターを造らないのは、国民を護る国家意思が弱いと言わざるを得ない。シェルターを政府も自治体も設置せよ」と問題提起をしてきましたが、26年を経て、ようやくこうした動きになっていることは大切です。 ( この核シェルター協会には、20年の歴史があります。立派な先駆的取り組みです )
まことに僭越ながら、評価します。
・そのうえで、このシェルター・モデルは、スイスの民間防衛を基準にしています。
わたしはスイスのシェルターやご家庭も見ていますが、日本とは国情も、リスクの中身も、一定の違いがあります。
たとえばスイスには津波のリスクがありません。
日本仕様のシェルターに進化させることが不可欠です。
このシェルター・モデルのドアはしっかり造られた、効果のあるドアですが、津波にも備える水密機能がありませんね。
ドアは水密にして、全体に、有事に備えるだけではなく自然災害にも備える機能を強化することで、日本国民の理解も得やすくなります。
・こうした個別のシェルター設置だけではなく、既存の地下鉄や地下商店街を活用する汎用シェルターも必要です。
核シェルター協会は「平時の施設を有事に使うのはなかなか難しい」という見解もお持ちですが、危機管理の要諦は、ゼロリスクを目指すという誤謬に陥らずにミティゲーション ( リスクの緩和 ) を実現することです。
既存の地下施設のシャッターを変更し、NBCに対応できるフィルタリング機能付きの空調に変更し、食料・水・医薬品を常備するだけでも、一定のミティゲーション効果はあります。
・その意味で、核シェルター協会が、全国の廃校を活用するシェルター設置を提唱なさっているのは重要にして優れたアイデアです。
上述のように質疑時間がとても短かったので、ごく一部しか議論できませんでしたが、四半世紀かかってようやく国会議員のあいだでも真剣な議論になっていることは、前進です。
▼国会に戻る直前、内閣から参加されていた危機管理の専門官がわたしに「26年ずっと問題提起していただいていることに、あらためて感謝しています」と小声で仰り、その率直な言葉に、わたしの方が感謝しました。
★国会はまだ閉会中ですが、こうして早朝から夜まで、沢山のことが動いています。
そのさなかでも、主権者のみなさんへの発信義務も果たし続けます。
「青山繁晴チャンネル☆ぼくらの国会」 ( ここ ) では、財界が増税の声を上げていることに真正面から異論を申しています。これです。