On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2024-09-04 03:32:13
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日本がんじがらめ党総裁選 【その5】 公務はインド、アフリカだけにあらず  そしてNHKの意図した誤報は総裁選だけにアラズ



▼壮麗な官庁街と、凄絶な貧しい街が、すぐ近くに同居しているのがインドです。
 やがて国のGDPが日本を抜くのに、「7億人以上」 ( 外務省 ) あるいは「8億人以上」 ( 国際機関のインド支所 ) が「食料を自分で入手できず、支給を待っている」という悲惨な情況にあります。

▼一方でそのインドは、日本とアジアが中国と対峙するとき決定的に重大な、戦略上の意味を持っています。

▼同時に、このインド、あるいはアフリカは、日本から公務で行くのが厳しい国々です。
 日本とは根幹から異なる衛生環境の悪さ、恐ろしい害虫の存在、水と食べ物の大きな違い、ホテルでのさまざまな困難、そしてたとえばアフリカの国によっては飛行機で往復するのに実に4日を要する遠さ。

 しかし、たとえば、日本国民の血税が政府開発援助 ( ODA ) として、これらの国々の現場で実際どのように投じられているのか、飢え、病める同じ人間の救済に貢献しているか、日本の国益と国民益に役立っているか、それらを現場で調べ、相手国と議論するのは、国会議員の責務のひとつです。

 こうした国々に行きたい国会議員が少ないからこそ、また、総裁選で公務をほんとうは横に置いている現職閣僚が複数いらっしゃるからこそ ( 全員ではない ) 、総裁選のさなかにあっても、力を尽くして、公務派遣に手を挙げて応じます。
 新刊の『反回想 わたしの接したもうひとりの安倍総理』の原稿執筆とゲラ ( 仮印刷 ) 直しの仕事も抱えて、幾度も幾度も機中の人となりました。

▼そして帰国すれば、即、国内での公務です。




▼たとえば9月2日月曜には、自由民主党本部で憲法改正実現本部が久しぶりに開かれました。
 おのれの心身を励まして、党本部に入ったときから、異様でした。
 総裁選でメディアが持ち上げる候補に、大量の記者が群がるのは当然です。また自由です。しかし、とろけるような笑顔でヨイショ質問する若い記者には、おのれの記者経験と照らしても、内心ですこしばかり首を傾げました。

 権力を獲るかもしれない人に、記者も、議員も、すり寄るばかり。
 このなかから、生活の窮乏に苦しむ国民を救済する、新しい政治が生まれるのでしょうか。
 わたしは問わざるを得ません。

▼しかし、憲法改正実現本部の会場に入って、配られている資料、ただの資料ではなくこの本部で正式決定する案文を見ると、そこに希望の一筋の光がありました。
 憲法9条改正の具体的な条文案が示されていて、そこに「自衛の措置を妨げず」という、あの一文が、消されずにそのまま生きているのです。

 写真でご覧になれるように、まず岸田総理が挨拶をなさいました。
 そして議員の自由発言となった瞬間、わたしは真っ直ぐに挙手をしました。
 憲法改正実現本部の山下貴司・事務局長 ( 元法相 ) の公平な裁きで、無事に真っ先に当たりました。

「この『自衛の措置を妨ぜず』を9条の新しい2項として盛り込む案は、西暦2017年の当時の憲法改正推進本部で、不肖わたしが初めて提案した案です。初当選からまだ10か月だった議員の提案でしたが、公平に議論され、当時の本部長をはじめ賛同者が続々と出て、党の案となりました。
 その後、他党の慎重姿勢や反対などがあってなお、生き残り、このように今日、議論と決定プロセスに掛けられます。それは、9条のほんとうの改正への意思が、自由民主党の根っこに生きていることの証明です」

 深く頷く議員が多く見られました。
 わたしを見つめつつ、何度も頷く大物議員もいらっしゃいました。
 同時に、不可思議なざわめきが起きました。まるでこの文書を認めたくないかのような、一部の議員、防衛大臣経験者を含めた、ざわめきです。
 しかし、反対意見はついに表明されず、この文書を含めて正式決定されました。

 わたしは念のため、その後、憲法改正実現本部の現職の中枢幹部に「一部に、ざわめきがありましたが、自衛の措置を妨げずという9条改正条文は、自由民主党の正式案として決定されたのですね」と確認しました。
 中枢幹部は「その通りです。正式決定されました」と明言されました。
 この中枢幹部というのは、憲法改正実現本部の事務総長の加藤勝信さんです。加藤さんは、総裁選の候補者の1人でもあります。

 また『反回想 わたしの接したもうひとりの安倍総理』において、安倍総理とわたしの会話の中にも登場する柴山昌彦・憲法改正実現本部副本部長は、会の席上「私は青山案の『自衛の措置を妨げず』に賛成しています」と明言されました。
 柴山さんは、会のあと、他の議員が一緒のエレベーター内であらためて「自衛の措置を妨げずに賛成です」と仰いました。
 わたしは感謝を述べました。

▼主権者のみなさん、みなさんが受信料を払っている公共放送のNHKがいったい、この憲法改正実現本部の決定をどう報道したと思いますか ?
「自衛隊の明記を決めた」
 これだけです。
 なんと、正式な9条改正条文案として配布され、政権党が公式に決定した「自衛の措置を妨げず」を完全に、無かったものとして、報じたのです。

 わたしという総裁選候補者を居ないことにするのとまったく同様の、真昼の暗黒です。

 わたしは今週ずっと、複数の司法関係者の助言も得て、NHKへの正式抗議の準備をしています。
 わたしの身体はひとつ。公務と総裁選対応でなかなか準備が物理的に進まないのですが、週内に必ず実践します。

▼こうしたなか、いつも申しているとおり、主権者のみなさんへの無条件の発信を怠ることはありませぬ。
 スキマ時間、いや、ほんとうはスキマ時間も無いので、まるで空中に別時間を作るがごとくの無理をして「青山繁晴チャンネル☆ぼくらの国会」の収録を行いました。
 二十歳の増野優斗くんという学生インターンの熱意を裏切らないために、無理無理、ショート動画も収録しました。
「総裁選 不屈の戦い」という動画をここに、ショート動画をここに、アップしています。

 みなさんからは「中国の領空、領海侵犯になぜなにも言わない」という声が来ます。
 上記の収録ですでに語っています。
 収録が終わっていますから、必要な手順を経て、確実にアップされます。一気にすべてを同時実現することが不可能なのは、みなさんもわたしも同じ、人間の現実です。

 わたしという存在は、自動車の廃車場に似ているなぁ、面白いなぁと思うのです。わはは。
 写真にうつっている議員の一部の総裁選でのこと、それから、主権者のみなさんからまったく正当な、当然のこととして絶えることのない声。
 四方八方から、廃車場のきちんとした作業とおなじく、ぎゅーと毎日、来るべきプレッシャーがやって来ます。
 それは、8年前に、安倍総理からの印象深い電話のあと、配偶者の青山千春・東京海洋大学教官と、社長秘書だった清水麻未・独立総合研究所総務部秘書室第2課社員 ( 現・三浦麻未公設政策秘書 ) のふたりの短い言葉で、参院選への参加を決めたときから、深々と覚悟を定めたことです。

 車はぺちゃんこに潰れることで、新しく役立ちます。
 わたしは決して潰れないことで、日々、新しく役立ちます。

 さぁ、夜が明けてきました。
 きょうも荒廃した戦場に、淡々と出ていきます。
 心の友は、『反回想 わたしの接したもうひとりの安倍総理』の読者です。あなたも、そうであれば、いいですね。

 大物議員はきのうわたしに「これだけね、人のまさかの裏切りに遭っておられるとね、青山さんが、ついに、党を出ていくんじゃないかと毎日、ハラハラしています」と仰いました。
 良心的な言葉だと思います。
 わたしは、本心からの笑顔で「そうでしょうね。しかし安倍さんは出ていきませんでした。その安倍さんにも、たくさんの諫言を申しました。自由民主党を中から変えるためでしたから、わたしは安倍さんを裏切りません。誰も裏切りません。いくら裏切られても、変わることはありません」と、答えました。
 ごくふつうに、申しました。





 
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