On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2024-09-28 02:50:11
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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【書き加えました】  日本がんじがらめ党 総裁選 最後の日  主権者のためのリアル現場ドキュメント その1



▼令和6年9月27日金曜、正午過ぎ。
 国会議事堂の背後にある古い9階建てのビル、自由民主党本部に入り、カメラと記者でいっぱいの1階ロビーから右へ逸れて、8階ホールへの階段を、ひとり登り始めました。
 すでに確信しています。
『この総裁選は1回目の投票では終わらず、決選投票になる。高市さんは、間違いなく決選投票に残る。決選投票のもうひとりは石破さんで、当初はトップだった小泉さんは3位、決選投票には残れない』
 こう考えていました。

 単なる推測ではありません。広範な情報を総合した、確信です。
 高市さんの強みは、党員・党友票です。その党員・党友票において小泉さんが沈んだことがもはや疑いありませんでした。また、高市さんの党員・党友票がメディアの予想よりずっと多いことも把握していました。

▼決選投票では高市さんに投票すると、すでに決めていました。
 いつ決めたか。
 それは9月12日木曜日の総裁選告示日です。
 おのれが推薦人を集めきれず、それ以前に撤退していた野田聖子さん、齋藤健経産大臣に続き、3人目の撤退となることが決まった日でした。

 その時点では、高市さんが決選投票に残るだろうというのは、まだ推測でした。
 その日から15日の長い選挙期間を経た、この日は違います。確信です。
 ということは、第1回投票の結果はもう見えていました。
 ただし4位以下の順位は、分からないと言うよりは、もはや考えていませんでした。
 3位は小泉さん、その上の高市さんと石破さんが決選投票に進むということが分かっていれば、次期総理はその2人のうちどちらかだと、当然ながら、わたしの中では確定していたからです。唯ひとりの自由民主党総裁,事実上の総理大臣を決めるのが総裁選です。

 したがって、決選投票ではなく第1回投票において、「誰に投票するか」という判断は、総理になれない候補者のなかで誰にいちばん今後も活躍してほしいかということに重点を置いて考えていました。
 活躍してほしい人は複数いますが、投票できる候補者は1人だけです。逆に言うと、第1回投票、決選投票、それぞれにおいて1人を選べます。
 決選投票では、そこに確実に残る高市さんに投票します。
 第1回投票では、15日間の討論から浮かびあがってくる人間性に着目して、3位以下とみられる候補者のうちから「総理になれなくても活躍してほしい人」を選ぼうと、それを考えていました。

▼階段を、半分の4階まで登ると、そこは総裁室や幹事長室、そしてかつてわたしも記者時代に属していた平河クラブ ( 自由民主党記者会 ) のあるフロアです。
 階段に強烈なカレーの臭いがしてきたので、『あ、9人の候補者がみな、平等にカツカレーのお昼を食べているんだな』と思いました。
 カツに、勝をかけた、総裁選の慣習のようなものです。

 かつて安倍さんが再登板の総裁選に挑むとき、このカツカレーを食べたら「ただのカレーにすればいいのに贅沢だ」という中傷を受けたことを思い出し、その安倍さんとの心の交流と、真正面からの論争とを『反回想 わたしの接したもうひとりの安倍総理』という新刊にようやくまとめることができたことを、ちらり、考えました。

 そして加藤勝信さんを安倍さんが褒めていたことも、思い出しました。
 再登板後の政権で安倍総理は、加藤さんを官房副長官のひとりに起用したのでした。
「なんかさ、反り返って歩く癖があるからね、やっぱり元大蔵官僚だ、偉そうにしてるんじゃないかと誤解されることもあるんだけどさ、すっきりした奴だよ。能力は抜群に高いよ。副長官にしてみて、よく分かった」
 そう仰っていました。
 安倍さんはみずから任命なさった大臣や官房副長官らの月旦 ( げったん。人物評 ) をわたしになぜかよく話すのでした。利害関係の無いわたしに話すのが、ちょっとしたストレス解消だったのかな ?
 それも『反回想 わたしの接したもうひとりの安倍総理』に盛り込んでいます。

 この安倍さんの話でわたしも初めて加藤勝信さんに関心を持ったのでした。ところが、実はそのあとも、ほとんど話す機会すら無かったのです。
  総裁選の討論で、加藤さんはいちばん積極的に拉致事件を採りあげ、保守派のイメージが無いにもかかわらず選択的夫婦別姓制度は必要ないと言い切り、さらに能登の重なる被災について岸田総理の「予備費だけで対応」という取り組みを否定して「 ( もし総理になれば ) 補正予算を組む」と明言しました。

 主権者から「青山さんは候補者の人間性を見てくださいと言うが、私たちは話す機会も無い」という声も届きました。しかし、わたしも加藤さんとはほぼ話す機会はありませんでした。
 それでも政策の優先順位や中身に、指導者となろうと欲する人の人間性がありありと滲みます。
 それだからこそ、国政にかかわるとき人間性は大切なのです。

 階段を5階、6階、7階と登って行くにつれ、カレーの臭いは薄れ、そこはかとなく緊張感が伝わってくるようになりました。
 わたしは『これまで考えてきたとおり、第1回投票は加藤さんに、決選投票は高市さんに』と最終的に決め、8階に上がりました。
 加藤さんについては、安倍さんの積極評価の記憶にも押されていました。ただし主としては、討論に顕れた人間性です。

 それと・・・話す機会の無かった加藤さんと、一度だけ、この総裁選のさなかにばったり偶然に会ったのです。
 場所は、議員会館の地下通路です。時は、9月12日の告示日の前、ただし運命の日がどんどん迫ってくる時機でした。
 当時の加藤さんは、わたしと同じく推薦人が足りていませんでした。わたしがそれを知っていることを、加藤さんは気づいていなかったでしょう。
 わたしは烈しい引き剥がしに遭い続け、加藤さんはちょっと対照的に、積み上げに苦労されているという印象・情報でした。 ( ご本人からすると違うかも知れません )
 ところが、加藤さんは明るく、わたしに挨拶されたのです。
 焦り、イライラはまったく感じられません。
 しかも、この苦しい時期に、ひとりで、自分でコーヒーを買いに地下通路に降りてこられたということでした。
 その明るさ、落ち着き、人に頼まず自分で動かれていること、いずれも印象に残りました。

 たとえばレーシングドライバーでもレースが苦しいとき、一緒に苦労しているはずのメカニックらに、無線で、あるいはピットで焦り、イライラ、怒り、それは当然の感情であっても、ぶつけてしまう人も居ます。すると、どんなに速くても、チームに残れなくなったりするのです。
 それをふと、思い出しました。
 まさしく人間性の問題ですね。

▼ホール入り口で党本部の職員に、ルール通り名刺を渡し、ホールの中に入りました。
 まだ他にひとりの国会議員も居ません。
 上の写真で、赤い椅子に下げられた細い紙には、議員名が書いてあります。指定席です。
 わたしは参議院議員席の最前列に、静かに着座しました。

 ※このドキュメントは続きます。
 総裁選がきのう終わったあと、さまざまに議論し、夜が更け、そのあと徹夜でこのブログを書きました。
 発信を待っているという主権者の声が、ブログに届いているからです。
 いま朝の6時45分、いったん、止めます。
 続きは、できれば、のんびり待っていただけないでしょうか。きょうの土曜も、やるべきことが山積です。みなさんと同じですね。

 きょうの土曜が休みの人はどうかゆっくり、休んでください。母系天皇の容認論まで仰ってきた石破さんが次期総理となって「絶望した」、「ジミントウを見限る」という声がたくさん、たくさん、たくさん、届いています。
 よおく分かります。
 しかし、とにかくいったん、あなたさまの心を休ませていただけませんか。伏して、我がこととして、お願いします。
 きょうの土曜も仕事の人は、なるべくリラックスして働けますように。

 わたしはこうして、戦い続けます。
 祖国は甦る。





 
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