On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2024-10-08 02:05:54
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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国破れて山河あり、いや、破れざる国に山河あり



このエントリーに記したように、おととい10月6日の日曜に羽田から大分へ、講演のために飛んだとき、ふと気がつくと富士山の火口です。
 真上すれすれかと思うほど、近くを飛んでいます。

 空路で国内出張へ出ることも多く、日本の空からわたしたちの富士を望むことも少なくありません。
 しかしこんな眺めは初めてです。
 実際には安全を確保して飛んでいたと考えます。いわば恵みのフライトに感謝しつつ、神聖な富士のいただきに、手を合わせました。

▼少年時代から、雲の渡る空を見上げていました。
 ぼくは神戸生まれです。海はいつも身近にある、身体の一部のような存在、そして空は、夢が離陸するような場所でした。
 大学生の時代に両親の家に帰るときも、当時の若者向け安売りチケット「スカイメイト」を無理にでも使って飛行機で帰ったのです。
 スカイメイトは、今でも一部の航空会社で残っているようですね。ぼくが学生のときには、空港で何の保証もなくじっと待って、出発時刻の直前に空席が出た時だけ、およそ半額で乗れる制度でした。
 東海道新幹線なら、東京駅でひょいと飛び乗れば、帰れます。
 もちろん新幹線で帰ることもありました。
 しかし胸のなかで思っていたのは『新幹線は出発しても空へは上がらないもんね。飛行機なら空の上という別世界へ行ける』ということでした。
 羽田空港で最終便まで空席を待っていると、中年男性の係員から「もう空席は出ないよ。諦めて正規運賃を払って乗りなさい」と言われて、そんなおカネは無いので信じて待っていると、いきなり空席が出て、係員が複雑な顔をなさったのを今も覚えています。
 ・・・というわけで、物凄い数のフライトを利用してきたのですが、こんな富士はまったく初めて見ました。





▼地上の情けない政権の誕生をよそに、空は明るく大きいのです。
 やがて、神戸市垂水区と淡路島を結ぶ明石海峡大橋が見えました。
 少年時代に、淡路島まで泳いで渡ろうかと夢想していた海です。
 それにわが母のお墓から見える、海でもあります。 ( 母はクリスチャン、父は仏教徒だったので、違うお墓に居ます。ぼくは、その父母に挟まれて育って、特定の宗教の信徒にはなりません )

 スマホの写真では、見にくいでしょうが、明石海峡大橋を空からこんなにクリアに見たこともありません。
 窓におでこをくっつけるように見ていました。 ( あとで念のため綺麗に拭いておきました )



▼すると今度は、淡路島と四国の徳島を結ぶ、大鳴門橋です。
 淡路島は、淳心学院中高等学校の生徒だったとき、同級生と長駆、自転車で渡りました。強風で飯盒のごはんが炊けず、みんなで生のお米をかじるように食べた想い出が蘇りました。
 それに徳島は、共同通信社の新人記者として赴任した初任地です。
 赴任直後に、徳島地検始まって以来の特捜事件が始まり、口の極めて堅い検事さんたちに、懸命に食い込みました。



▼さらに、瀬戸大橋が白く、くっきりと見えてきました。海を貫き、島を結んでいます。
 ここも出張の鉄路で何度か渡り、そのスケールに感嘆したのを覚えています。

 機は、やがて九州の大地へ降下していきます。
 内心の奥深くには重い鬱屈をかかえる今のぼくに、まるで天が日本の山河をあらためて見せてくださったようにも感じました。
 夜更けの心の救いのひとつは、『反回想 わたしの接したもうひとりの安倍総理』におのれが記した、いや、おのれを突き放して歴史を記した、穏やかにして熱い志の世界です。
 安倍昭恵さんとお会いして、安倍晋三総理の霊前にこの書を捧げる日も、昭恵さんのおかげで決まりました。

▼どんなときにも、無償、無条件の主権者のみなさんへの発信を続けます。
 ゆうべアップされたのは、「青山繁晴チャンネル☆ぼくらの国会」の最新放送です。
 石破総理が世論に狼狽されるように、一部議員の非公認などを決めたことをめぐって、そもそも石破総理が派閥とカネ問題で人を裁く資格をお持ちなのかということを、ここで問うています。

 二十歳の学生インターンによる、主権者のためにぼくに問う努力もショート動画で続いています。最新はこれです。海上自衛隊の護衛艦が、史上初めて、台湾海峡を通過したことをどうとらえるか。
 それを、数十秒だけみなさんの人生の時間を貸していただき、一緒に考えます。






 
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