On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2008-05-17 07:29:06

ひとことだけで申し訳ない




▼いつも申していますように、このブログで個別の質問にひとつひとつお答えすることは、原則としてできません。

 ただ、「日本の根っこの課題」に関係あると考える質問がありましたから、それに簡潔ながらお答えしておきます。

 質問には、先日の関西テレビ「アンカー」での放送をめぐって、『アメリカ国務省の幹部に、ヒル国務次官補解任を改めて要求すると、相手は「解任します」とは言わないけど、「本国に伝える」と言ったそうですが、これはその幹部のリップサービスではないでしょうか? 失礼ながら、外国の、しかも一民間団体の代表である青山さんの言ったことを、逐一政府に進言するとは到底考えられないのですが』とあります。

 ぼくは、広く流れるテレビ番組で発言したのですから、事実と違えば当然、即、アメリカ国務省からテレビ局や独立総合研究所やぼくに、抗議が来ます。
 ぼくは「アメリカ政府筋」などとぼかさずに、「アメリカ国務省」と明示したのですから。


▼彼は、アメリカ国務省のなかでも良心派として、ぼくは信頼しています。
 彼も、独研が純然たる民間シンクタンクであり、ぼくが民間人であっても、アメリカを含む諸国の政府、それから日本政府と、批判するべきは批判し、議論すべきは議論し、テロから命を護ることをはじめフェアに連携すべきは連携してきた、その実績をインテリジェンス(機密情報)にも携わるアメリカ政府高官として、よく知っています。把握しています。

 官なのか民なのかが、アメリカ政府にとって決定的な要素ではないことを実感することは、よくあります。
 常に問題にされるのは、官も民もなく、中身です。

 その信頼関係に基づいて、彼の実名は仮に拷問されても出さないことを最低限のルールとしつつ、実際のぼくの行動、アメリカ国務省の現役の高官としての彼の回答を、その事実経過のままに、視聴者に伝えています。

 そして彼が、いつどこでぼくと、あるいは、ぼくプラス独研の研究員と会ったかは、国務省内部の記録に残ります。会談などをセットしたアメリカ政府スタッフも知っています。
 事実と違うことを、ぼくがテレビ番組で示せば、これも当然、抗議が来ます。


▼守秘と公開のぎりぎりのところで、ぼくも、たとえば彼も、それぞれの志を持って、主権者が知るべきは知らせるように努力しています。
 ぼくの個人的な欲かなにかで誇張するか嘘をついていると、もしもお考えになっての質問であるのなら、その発想が生まれる、志のありかたの問題ではないでしょうか。

 そして、官なら聞いてもらえるはず、民なら無視されるはずという思い込みを超克することが、まさしく日本の大切な課題の一つだと考えます。


▼ただし、質問者のかたがどのようにお考えになっても、ぼくはそれを阻みません。
 理解や称賛を求めて行動し、発言しているのではないからです。
 子々孫々にこの祖国を手渡していくときに、ちいさなカケラでも希望をこさえて渡したい。そして死ぬ。
 そのために、短い命を生きていますから、一切のお考えは自由です。

 ただ、「そんなことがあるはずはない、到底信じられない」という部分については、嘘であるならアメリカ国務省から抗議が来ますが来ません、という最小限の、そしてあまりに明瞭なことだけを述べさせていただきました。





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