On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2009-07-06 21:29:36

真夏の書棚へ





▼みなさん、これを大ニュースと表現しては、まったく僭越です。
 世界ではウルムチの民衆蜂起をはじめ、ほんものの大ニュースが満ち溢れているのですから。

 ただ、この地味ブログをわざわざ訪ねてくれるひとには、やっぱり、いち早くお知らせしたいことでは、あります。


▼ノンフィクション新刊の「王道の日本、覇道の中国、火道の米国」(PHP出版)は、きのうの朝9時半ごろに全文を脱稿しました。
 そしてPHP出版は、わずか1日でゲラに刷り上げてくれました。こんな早さは、まさしく異例の努力だと思います。感謝しています。

 これで、順調にいけば、いちばん早くて8月5日に、書店に並び始めることになりました。


▼そのゲラがゆうべ遅くに、自宅へ届きました。
 宅急便でOKなのに、担当の編集者が、みずから届けてくれました。このまま無事に出版となるようにと、祈りにも似た気持ちがあるのだと思います。

 というのは、ぼくのほうも、この分厚いゲラの直しを、木曜の朝までにすべて終えねばならないという、常識的にはまったく無理なことを、達成せねばならないからです。

 それも、ふだんと変わらないウルトラ過密スケジュールをこなしながら、です。
 今日はまもなく独研(独立総合研究所)の本社で、たいせつなミーティングをしたあと、羽田空港から大阪へ。
 東大阪市の近畿大学の経済学部で、2コマ、3時間の連続講義を、全身全霊でおこなってから、大阪市内の関西テレビであすの報道番組『アンカー』のための、打ち合わせというより討論会です。
 いつも、これがなかなかに苦しい。
 そして、あす水曜は、早朝の電話によるラジオのレギュラー生放送、そして『アンカー』の生放送と続き、そのあいだ、政局と北朝鮮と東トルキスタン(ウイグル)がこのような状況ですから、膨大な電話のやりとりがあると思います。

 そのなかで、どうやって、ゲラ直しをするのか。
 もちろん夜は、これから二晩、まったく寝ないでやるのですが、それだけで時間が足りるとはとても思えない。
 正直、トイレの中にも持ち込みたい心境です。
 うはは。


▼だけど、このゲラ直しと、ウルムチの民衆蜂起がぶつかったのは、もちろん偶然ではありますが、偶然とは捉えないで、この新しい書物の果たすべき役割のひとつを暗示していると捉えて、一命を捧げて、ベストのゲラ直しをいたします。


▼このゲラ直しが予定通りに終われば、新刊は、編集者の話によれば8月5日から7日ぐらいに、全国の書店に並び始める見通し、とのことです。
 もちろん、もう予約は可能だと思います。(宣伝みたいで申し訳ないですが、きっと「予約できますか?」という問い合わせのEメールをいただくと思いますから…)


▼写真は、そのゲラです。
 けっこう、分厚いですよね。
 実は書きすぎてしまって、版元のPHPから「5枚、削ってください」と求められています。
 その5枚で、本のページ数が値段の区切りを超え、このままでは定価が高くなってしまうからですね。

 削ってくれ、と言われたのは、初めてです。
 ちょっと辛いですが、定価の高い本をみなさんに買ってもらうのは、嫌なので、削ります。
 しっかしなぁ、ほんとは、1ページ、1行、1字に、この心身から削り取って、それを吹き込んで書いているから、け、けずるのは辛い。
 だけども、みんなが買いやすい値段の本にするのも、プロの書き手の仕事です。


▼ついでですが、写真に写っているのが、つまり、ぼくの自宅の書き机です。
 意外に狭いでしょう。
 独研の社長室はもっと大きな机ですが、そっちはそっちで、書類で埋まっていて、わずかな隙間で仕事をしています。

 この自宅の書き机は、まだ共同通信の新人記者だった時代に買った小ぶりな机で、ぼくの転勤や転身と一緒に、ずっと移動してきたわけですね。
 ほんとうは、ぐーんと大きな机でゆったり書きたいけど、マンションの部屋そのものがたいへん狭いのだから、まぁ、無理な話です。

 ただ、窓の外には、東京湾岸のむこうに、わたしたちの富士もひかえていて、それは最高です。

 パソコンのディスプレイの右横にふたつ、並んでいるのは、バッファローの外付けHDDなのですが、これが最近、ぶっ壊れてしまって、たいせつなデータが取り出せなくなって、気持ちが塞がってしまうほど、困っています。
 いま、ぼくの仕事もコスト削減が重要テーマになっているから、業者さんの高額な復旧作業は頼めません。何か良い方法を知っているかたは、教えてください。

 ちなみに、その前あたりにある、電話もこないだ壊れました。
 これは、買いに行く暇がない。
 まぁ、大半の電話は、みなさんと同じように携帯で済ませていますけどね。

 外付けHDDのうえに、載せてあるもののひとつは、こないだ隠岐の島を訪れたときに、隠岐の島JC(青年会議所)の9人の志士たちから、記念にいただいた黒曜石の星座図なのです。

 隠岐の島も竹島も、黒曜石の素晴らしい産地です。
 ぼくのために、わざわざ、これを作ってくださったとのことで、しかも、その作者は、竹島に上陸した漁師一家の八幡家のご当主さまなのです。
 それに、ただの天体図ではなく、宮沢賢治の銀河鉄道の夜がベースになっています。
 銀河鉄道の夜には、黒曜石でつくられた星座図が、確かに出てきますよね。

 小さな子どもの頃から賢治に親しんで育った、ぼくには、それも嬉しいこと、嬉しいご縁です。






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