On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2011-08-11 15:44:13

行くぜ





▼短い書き言葉は、いつも、なにかの誤解を生みます。
 書き手が紡ぎ出した言葉は、それが読み手の目に触れた瞬間から、書き手だけの物でなくなります。
 すなわち、誤解もまた、言葉の生み出す作品です。
 だから、この地味ブログにぼくが書きとめた言葉によって誤解が生まれたことが分かる書き込みがあっても、ふだんはあまり、こだわりません。

 そのうえで…このひとつ前のエントリー「夜明けへ」で、ぼくの講演について誤解が生まれたことが分かりました。
 といっても、少なくはない書き込みのうち、おふたりだけです。
 しかし、これは、今後の講演に関わることですから、すこしだけお話ししておきたく思います。


▼まず、ぼくの講演は「次に続く」というのは、ありませぬ。
 お出でなるかたとは、一度切りのことも多いのですから、次にお出でになることを強いるようなことはしません。
 第2回の「独立講演会」について、話の中身が基礎固めで時間切れとなったと先のエントリーで記したのは、次を聴かないとその「基礎」が分からないというのではもちろん、なく、基礎固めは基礎固めとして完結しています。


▼では、第3回以降の「独立講演会」は、逆に第2回の「基礎固め」を聴いていないと分からないのか。
 そのようなことも、決して、いたしませぬ。
 第2回には参加できなくて、あるいは参加しなくて、第3回には参加なさるひとが沢山いらっしゃるでしょう。
 ぼくが、そうした、お聴きになる側の当然の事情を、考えないということも、ゆめ、ありませぬ。


▼だから、いつでもお出でください。
 また逆に、いつでも他のご予定を優先なさってください。
 ぼくのほうで、お聴きなるかたがたを分けていくことに繋がるような僭越な振る舞いは、命ある限り、いたしませぬ。
 それは、ぼくなりのささやかな生き方です。


▼ぼくが今、講演会に臨んで、いつも苦しむのは、みっつです。
 ひとつ、講演会はふつう長くて1時間半まで、です。これだけ日本国とアジアと世界に至急の課題が重なると、常に時間が足りません。
 ふたつ、時間を延長して話すなどして、講演会が長くなったとき、トイレのことや疲労で、聴衆のかたがたに負担を強いることにもなります。

 そして、みっつ。聴衆のみなさんそれぞれで希望や要請、事情が、当然ながら、見事にばらばらです。
「開始時間をもっと早く」というかた、「もっと遅く」というかた、「今の開始時刻がちょうどいいから必ず固定してください」というかた。

「テレビで話していないことだけ話してくれ」というかた、「テレビで話したことも、もう一度、ナマで聴きたいから、そんなこと関係なく話してくれ」というかた、「テレビで短く話したことこそ、もっと噛み砕いて、より分かるように話してほしい」というかた。

「硫黄島と白梅の塔のことはもう何度も聴いたことがあるから、新しいことだけ話してください」というかた、「硫黄島と白梅の塔のことだけは毎回、必ず聴きたい」というかた。

 もうこれ以上、書きませんが、それぞれに相反する要望が、ときには要求と言うほかない強い調子も含めて、ぼくに届きます。
 全員の要望それぞれに合わせることは、もちろんできません。
 しかし辛いですね。
 こうしたことは、ふだんの講演会でも充分にありますが、独立講演会では、かなり強い形で出てくることが分かりました。

 そして現実の問題は、どこに焦点を合わせるかです。ほんとうは、焦点は合わせられません。国民ひとりひとりを、日本国の唯一の主人公、そして唯一の最終責任者と考えるのが、ぼくと独研(独立総合研究所)の根っこの理念です。
 だから、むしろ焦点をどうやって合理的に拡げるかにあります。
 焦点を暈(ぼ)かす、曖昧にするのでは、絶対にない。
 どれぐらい多くのかたの切望を汲み取れるか、講演のたびに、そこに全霊を注いでいます。


▼みっつの苦しみのうち、ひとつ目と、ふたつ目は、まさしくそれだからこそ独立講演会を始めた理由の一部です。
 講演時間は、ふつうの講演では考えられないぐらい長くしているし、今後の企画としては「朝まで講演」あるいは「昼食を挟んで日中通しの講演」などを企画中です。

 そうなると、お聴きになるかたがたのトイレや疲労がさらに課題になりますが、独立講演会では自在に休憩を入れることができます。ふだんは、主催者の運びに干渉しません。


▼みっつめのことは、先ほど申したように、独立講演会ではより強烈な課題になります。
 しかし、だからこそ、ぼくと独研のやる気、さらに意欲は高まっています。

 いくぜ、独立講演会!
 みなさん、ばんらばらのまま一緒に地の果てまで、地獄の向こうまで行きましょう。
 われらが祖国と、アジアと、世界のために。





 写真は、セーヌに架かる橋の上です。
 ちょっと場違いな格好をしていますが、シャンゼリゼのルノー・ショップで、ルノー(フランス)とロータス(英国)が連携したレースのブルゾンを見つけて、買って、夏のパリが驚くほど肌寒かったので、思わずそれを着込んだところです。
 エントリーの話題と関係ない写真です。ごめん。
 しかしね、これとほぼ同じデザインの、ブルゾンじゃなくTシャツを、第2回独立講演会で、ジャケットの下に着込んでいたのです。
 本音は…あぁ、もっとレースに出たいなぁ。
 第2回独立講演会のあと「レースとか服の話を、いちばん聴きたい」というひともいたのです!

 
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