On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2011-09-24 06:21:01

ところで…

▼…ありとあらゆるニュースのうちで、これほど驚いたニュースはない。
 ニュートリノが光速を超えたというニュースだ。

 未来へのタイムマシーンはある。ありえる。
 光速に限りなく迫る列車があれば、その車中にいる乗客には時間がゆっくり流れる。
 そして、この列車が地球をぐるぐる廻ったあとに、駅で降りれば、ふつうに時間が流れていた外は、すっかり未来になっている。
 もう友だちも、愛する人々も死に絶えたあとの世界に、乗客は降り立つ。

 しかし、過去に行くことのできる列車はない。
 なぜなら、光速を超える物質が存在しないからだ。

 ところが、もしも光速を超える物質があるのなら、それに仮に人が乗っかれば、時間は逆戻りする!


▼ぼくたちは、二度と過去には戻れない。過ぎた時間は決して戻らない。すべての歴史も取り戻せない。やり直せない。
 そう理解し、覚悟するところに、人生観と世界観もある。

 それが、過去に戻れるとなると、やり直せることになり、歴史も変えることができることになる。
 これこそまさしく時間のパラドックスを生み、現在と未来も無限に、無秩序に変わってしまうことになり、世界が崩壊し、だからこそ「やっぱり過去への旅だけは、ない」ということにもなっていた。

 もしも、ほんとうにニュートリノが光速を超えたという実験が正しいのなら、その世界崩壊の始まりだ。


▼まぁ、やがてこの壮大な実験に見落としや欠陥が見つかって、「やはり光速を超えるものはなかった」と落着する…のかも知れないが、ホント、驚きました、このニュース。

「単純年齢」を問わず、頭と身体と魂が若い、若者よ、隠れた天才よ、物理学をやれ。
 残された最大のフロンティアは、まだ見ぬ荒野は、宇宙論にある。




*この地味ブログ、これからは、余談も、日々の点描もすこしづつアップしていきます。


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