2011-11-21 21:32:20
あれから一年
▼いま11月21日月曜の午後10時過ぎ、病院にいる。
入院ではありませぬ、1泊の人間ドックだ。
▼去年の11月初旬、この同じ大病院で、生まれて初めての人間ドックを受けた。
どうしても人間ドックに入らない、検診も受けないぼくを、独研(独立総合研究所)の秘書たちや青山千春博士が懸命に、病院に押し込んでくれた。
まぁ、ぼく自身も、あまりの体調の悪さに調べる必要を感じて、やっとこの病院に来た。
検査はいわば物凄いハードスケジュールで、休みなく次から次へ、血液も大量に採取され、ぼくは内心、『やれやれ、この検査でこそ病気になりそうだよ』と呟いていた。
検査の途中で、筋肉量や体脂肪率、基礎代謝ではかる「体内年齢」が「36歳」と判定されたこともあって、正直、『ほらね』という気持ちもあった。
まったくの健康過信、体力過信、傲りそのものだ。
ところが、この初めての人間ドックで、大腸癌が、それもごく初期段階で見つかって、今年2月の手術になったわけだ。
ドック入りが遅れていたら、今頃は、取り返しのつかないまでに癌が生長してしまって、もうこの世にいなかったかもしれない。
ドックのおかげで、もうすこし、ささやかながら祖国に一身を捧げるための時間を、いただいた。
▼だから今年は謙虚に受けました…と言いたいところだけど、重大な原稿〆切と重なった。
発刊が遅れに遅れてきた「ぼくらの祖国」を、発行元の扶桑社、なかでも田中さんという信頼感の深い編集者のおかげで12月21日に発刊予定となり、その原稿や写真、図版の〆切をぎりぎりの、そのうえのぎりぎりまで延ばしてもらいながら、続けている。
そのために、目が回るほど忙しい検査の合間を縫って、検査室前の廊下でモバイルパソコンで原稿も書き、写真も選び、本の装丁なども最終的に考えて決めて、編集者に送るという、とんでもない人間ドックになっている。
しかも、日曜からこの月曜の朝にかけて完全徹夜して、というか土曜から2日目の徹夜明けで、病院に入った。
その土曜には大阪で長時間の生放送テレビへの参加(出演)が2本、深夜の収録が1本。計3本。午後2時半ごろから11時過ぎまで、ずっとテレビ局。
日曜には、東京で「独立講演会」を開き、午後1時10分ごろから5時40分ごろまで、ぶっ続けで4時間半ほど講演した。
だから、徹夜はいくらかは、こたえている。
しかし『人間ドックで講演などは当然なくて、検査だけだから』と思っていた。
それは、まったく甘かった。
ハードスケジュールの検査は、連続の徹夜明けでは、実にきつい。
それに例えば、どうでもいいけど身長は縮んでいるし、眼もかすむ。
それでも、眼をこすりこすり検査を受けて、視力は「1.5以上」。
「以上、というのは何ですか」と尋ねると、「これだけ見えていて、それ以上調べても意味ないですから」ということだった。
ただし、耳もいいはずが、高音を聴く力がわずかながら落ちているとのこと。
眼も、視力がいいからといって、なにもかも安心ではありませんと医師からアドバイスをいただいた。
体内年齢は、34歳。
去年より2歳、若くなった。
ただし、別に感激しない。
若い、意欲的な女性の栄養指導士さんからは「禁酒してください。ヨーグルトや生クリーム、チョコを食べるのもやめてください。そうでないと、今度は肝臓癌ですよ」と迫られた。
その通り、ぼくはお酒も甘いものも好きだ。
お酒は、気合いを入れて呑めば一升半、しかし別に飲まなくてもいいけど、甘いものは、たまにドカ食いまでしてしまう。
仕事で頭が疲れたからという口実で、ほんとうは意志が弱くて怠け者だから、原稿も進まないまま、甘いものをどっと、脳ならぬ胃に入れるだけだ。
そして、そのまんま仮眠へと、眠り込んでしまったりする。
栄養指導士さんは正しい。
ふひ。
▼ちょっとだけ、かすかには嬉しかったのは、運動指導士さんから「身体が柔らかい。たぶん10年後も、20年後も、ほとんど変わらないでしょう。これは体質ですから」と言われたことだ。
ぼくはもともと、柔軟体操とかストレッチはほとんどしない。
しかし、この頃、股関節が硬くなったと思っていた。
毎日のように飛行機に乗る生活だし、原稿を書くときも座りっぱなしだから。
復帰したサーキットでも、レーシングカーのシートは、極端に狭く、腰をがっちりと固定する。股関節にいいとは思えない。
だけど運動指導士さんによると、股関節はむしろ、平均よりずっと柔らかいとのこと。
実は股関節が硬くなったのではなくて、おとどしだったか、スキーでジャンプして墜落し、左腰の骨を5本、引きちぎるようにすべて骨折したために、それをかばおうと筋肉が突っ張っているだけだという判定だ。
腰は幸い、後遺症はない。
それでも、足や腰の筋肉は無意識に踏ん張ってくれていたわけだ。
▼沢山の検査を受けるうちに、何人ものドクター、指導士さんから「たいへんな1年でしたね」と言われた。
そう、1月に「あなたは癌です」という判定があり、その前後に、痛い痛い尿管結石、それから肺が半分、真っ白になって死に直面した重症肺炎、癌の手術は成功したのに、そのあとの凄まじい苦痛のイレウス(腸閉塞)で、もっともっと死に近づいた。
尿管結石とイレウスはまだ治りきっていないまま、東日本大震災と福島原子力災害のなかに突入し、4月には、福島第一原発の構内に入って、癌のCT検査と合わせると、すいぶんと被曝もした。
いまのぼくは、去年と同じ人間ドック用病室にいて、ただ淡々としている。
神経としては、かなり馬鹿馬鹿しいことで、内心、憤慨していたりする。
正直、こんなくだらないことで人間不信も感じるのなら、もう面倒くさいな、という気持ちもある。
しかし、日曜の独立講演会で出逢った、さまざまなかたがた。
そのひとりひとりと握手した、みんなの手のぬくもりを思えば、やっぱりこうやって人間ドックにも入り、戦うべきは戦わねばならないのだろう。
そのうえで、真に戦うべきものと戦いたい。
*写真は、この書き込みとはまったく関係ない青山繁子です。
忙しすぎるのはいいけど、繁子と会えない、遊んでやれないのは悲しい。
日曜の夜、独立講演会のあとには、どうにか散歩に連れてった。
繁子は今夜も、「帰って来ないかなぁ」と待っているだろう。
この写真、「遊んでくれないの?」という顔のときの繁子です。
講演会といえば、今度の日曜に、福岡県の小郡で個人のかたが志を持って開かれる講演会が、いよいよ本番です。
まだチケットがあるそうです。
ぼくと会おうかなというひとは、お出でください。
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講演名: 青山繁晴講演会 in 小郡
「日本だけが放つ光を掲げよう」
主催:青山繁晴講演会を開く会
開催日時:2011年11月27日(日)
開場 10:00
開演 13:00
場所:小郡市文化会館(大ホール)
〒838-0142 福岡県小郡市大板井136-1
TEL:0942-72-3737
費用: 1,500円(全席自由)
※入場時には、チケットが必要です。
申込方法: 下記にてチケットを発売しています。
購入に必要なPコード「619-857」
店頭(コンビニエンスストアーのセブンイレブン、サークルK、サンクス)の各
店舗にあるチケット販売機、チケットぴあ店舗、チケットぴあのホームページ上
で購入できます。
詳細は、チケットぴあHPをご覧下さい。
チケットは、チケットぴあにて、講演日当日の昼12時まで販売致します。
問い合わせ:青山繁晴講演会を開く会
TEL:090-3418-0209
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- 2014-12-31 19:29:41
- さらば
- 2014-12-30 23:57:22
- あらためて祖国へ
- 2014-12-30 17:37:16
- 簡潔にお答えしておきます
- 2014-12-26 12:00:17
- みなさん、一気の情報です。(サイン会福岡の曜日を訂正しました)
- 2014-12-26 06:46:31
- きょう欧州出張へ出発なのですが…
- 2014-12-23 22:08:28
- 知らせてくれ、というリクエストが多いので…
- 2014-12-23 12:45:01
- 実はぼくも今、知ったのですが…