On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2012-01-11 11:00:47

現実と戦う (すこしだけ補足しました)





▼ありのままに記します。
 きのう1月10日火曜の午後、出張で降り立った新大阪駅で、すこし大きい書店に寄りました。
「どこの書店に行っても『ぼくらの祖国』は、1冊も置いていない」というメールや書き込みを少なからずいただくからです。

 その通り、影も形もありませんでした。
 ネット上のアマゾン・ランキングで似たような位置(5位ぐらいから50位ぐらい)でご一緒している書籍は、どれもこれも山のように積まれていましたが、「ぼくらの祖国」だけは(…という印象)は、まったく存在していません。
 他の書店も、ほんの少しだけ覗いてみましたが、同じです。

 置いてあるのは紀伊國屋書店、三省堂、丸善・ジュンク堂など、とても大きな規模の書店に限られているようです。
 稀に、規模の大きくない書店に置いているケースもありますが、それはその書店の店主さんや店員さんの特段の努力によるものです。
 みなさん、ご不便をかけて、こころから申し訳なく思います。


▼版元が出された新聞広告に「重版決定」と大書してありますが、その重版での予定発行部数は5千部だけです。
 初版は1万5千部で、客観的かつ公平にみて、この出版不況のなかでは少なくはありませぬ。
 しかし、予約の段階から、みんなが志を持って、驚くほかないほど沢山の関心を寄せてくださったにしては(つまりロケットスタートを切った割には)、この重版は、これも客観的に申して、とても少ないです。
 冊数が足りなくて、書店に出回らないのは、むしろ当然です。


▼ぼくがこの書で試みた問題提起は、稚拙な問題提起ではありますが、まさしく祖国とアジアのために決して欠かすことのできない問題を扱ったことだけは信じます。

 その問題提起は、なかなか受け容れられないよ、簡単にはいかないよ、ということであるのかも知れません。
 版元がどうこう、ということではありません。
 いずれにせよ、せっかくのみなさんの強い関心に充分に応えている現状ではないことを、たいへん残念に思います。

 要は、命が続く限りは、現実と戦うということだけです。

 写真は、お正月に仕事をしながら、撮ってみた1枚です。
 大晦日に、長男と青山千春博士が、ぼくに新しい小さな赤いカメラを突然、贈ってくれたので、遠い夜景がどれほど撮れるか、やってみました。
 次男は、シャンパンを買ってきてくれました。
 この1枚には、たくさんの人々の暮らしの窓が映り込んでいます。
 みんな、みんな一生懸命に闘っています。

 ぼくの脈の一打ちがいつか絶える、そのときまで、一緒に歩けるひとは、歩きましょう。
 予約の段階から、「ぼくらの祖国」に関心を寄せてくださり、あらためて、深く感謝します。


  • 前の記事へ
  • 記事の一覧へ
  • 次の記事へ
  • ページのトップへ
  • ページのトップへ