On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2006-03-13 01:04:50

「書く」ことは、肉体労働です





 このまえ山形県で講演したとき、庄内平野に、春の気配を感じた。
 東京よりずっと北なのに、月山(がっさん)が深い雪に輝いているのに、早春が姿も音もなくそこに来ている気配だった。

 そしてここ二日ほど、東京にも、その早春が降りてきている。
 弥生三月は、胸の奥にあたらしい思いが息吹く。

 だけど、一方でこの三月は、独研のすべての社員・スタッフにとって地獄の季節だ。
 というより、シンクタンクはどこも同じだと思う。
 日本という国は、いつに始まった委託研究のプロジェクトも、かならず三月末、つまり年度末に完了し、委託元に報告書を出さなきゃいけない。
 だから三月は、報告書の仕上げと、報告会の開催がどっと集中する。

 そういう時期に備えるためにも、ふだん、どんなに忙しくてもジムへ週一回は通って、バーベルやダンベルを挙げている。トレーナーの用意してくれたメニューにしたがって、体を造っていく。
 そのあとはプールで泳ぐ。大きな泳ぎになるように心がけて、フリーとブレストを泳ぐ。

 以前は、仮眠に充てていた時間を、ジムとプールでのトレーニングに変えた。
 無茶なようだけど、それをやり出してから、体調は明らかによくなった。



 一月下旬から、中東への短くはない出張に出ていたあいだ、もちろんジムへは通えなかった。
 泊まるホテルにジムやプールがあることも多いけど、出張はいつもアポイントメントや打ち合わせでいっぱいだから、とても行けない。
 中東は、お酒が飲めない分、ふだんには飲まない甘い清涼飲料水を、けっこう飲んでしまう。
 それにぼくは、大酒飲みでいて甘いものも大好きなので、中東のめいっぱい甘いお菓子もたくさん食べてしまう。

 というわけで、中東から帰国すると、いつも身体がなまって、重くなる。
 ことしは、特にひどい。
 帰国直後から例年よりさらに多忙になっていて、身体を動かす時間がまるで作れないからだ。

 そこできょうの日曜日、仕事の山にあえて目をつぶって、ジムとプールでトレーニングを再開してきた。
 トレーナーは「しばらくは、リハビリですかね。バーベルもダンベルもウェイトを落としましょう」と言ったけど、ふだん通りのウェイトとメニューでやってみた。
 どのメニューも、後半にちょっと苦しくなったから、身体はスタミナが落ちている。だけど、筋力そのものは意外なことに、それほど落ちていなかった。

 そして帰宅したあと、体調がすこし良くなっていることに気づいた。
 さぁ、これから自宅の書斎で徹夜だぁ。
 独研では、若き主任研究員Jも、海外出張から帰国したばかりなのに徹夜して奮闘している。



※写真は、久しぶりに履いた運動靴。
 ジムのロッカールームで、撮りました。
 くたびれた、汚い運動靴の写真でごめんなさい。
 だけど、ちょい実感がにじみ出ているかな、トレーニングの。



 
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