On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2006-03-16 23:46:54

夜の雨は





 いくらなんでも、まさか、というほど徹夜続き。
 洗面所で顔をみるたび、眠そうなこと、疲れていること、ちょっと驚かないでもありません。

 だけど、今夜のように早春の雨が降っていると、ものを書くには、むしろしっくりする夜です。
 夜の雨は、街を歩くにはちょっと嫌なときもあるけど、部屋でものを書くときには、味方かな。
 近くで応援してくれるような熱い味方じゃなくて、遠くからクールに、さりげなく知らん顔で応援してくれる味方のイメージ。
 社長室のドアを出ると、研究本部の社会科学部で、今夜も主任研究員や専門研究員らが4人ほど徹夜態勢です。
 ぼくと同じように研究員たちも、春の雨に、なんとなく気持ちがしっとりと落ち着いていればいいなと、思うのですが、言葉には出しません。

 春の雨なんて、それから夜の雨なんて、文字には書けるけど、口に出しては言えないよ。
 言葉というのは、面白いですよね。


 こないだは、赤い椅子から社長室のドアを見た写真をアップしてみました。
 じゃ逆の写真、ドアから椅子を見た写真もあればいいな、というかたも、ほんの少数ながらいらっしゃるようなので、お応えしました。

 独研の社長室の半分ぐらいが、映っている感じかな。
 広い社長室じゃないけど、すごく狭いのでもない。この写真の感じよりは、広いです。
 手前左には、社内の打ち合わせや、来客とのお話に使うテーブルと椅子の一部が、映っていますね。
 これもインドネシア製で、素朴な木でできたテーブルにガラスが嵌め込んであり、ガラスの下は短冊のような感じのバンブーが敷き詰めてあります。
 椅子は、ラタン(籐)の椅子ですね。

 原稿を打っているぼくは、楽な格好をしています。
 テレビのコメント撮りがあるとか、フォーマルなお客さんがいらっしゃるとか、そういうときは、背広に着替えることが多いですね。

 いまは夜11時半過ぎです。
 これがもっと遅い時間になると、もーっと、くだけた、もうめっちゃ、くだけた格好になります。
 だから、独研の社員のみんなは、そういうぼくに、もう慣れっこ。
 みんな、ごめんね。
 だけど、ほんとうのぼくは、ら~く~な格好が好きだから、がまんしてくらはい。

 今夜は、こないだとちょうど逆。
 社長室のぼくは、一滴もアルコールを呑んでいません。水だけを、ときどき呑みます。
 特に理由はないのです。今夜は、そういう夜。
 社長室のドアの向こう、研究本部に居残って頑張る研究員たちは、応接室でみんなですこし呑んでから、仕事に戻ったようです。

 それも、いいよね。







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