On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2023-09-27 21:26:38
この日時は本エントリーを書き始めた時間です
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【書き加えました】  笑う火の鳥  その4  世代を超え、困難を超え、世界の偏見を超え、にんげんのために尽くす日本人の姿



▼サブサハラ ( サハラ砂漠以南のアフリカ ) のザンビア共和国で、ひとのために命を捧げておられる同胞、日本の海外協力隊のみなさんと意見交換会を開きました。

 写真の左から1人目、それから舞立調査団長を挟んで3人目、4人目、不肖わたしを挟んで6人目の計4人がザンビアに派遣されている海外協力隊員です。
 そして一番右にいらっしゃるのが、その海外協力隊員を率いつつ、ザンビアへの日本の知られざる支援を統括なさっている米林徳人さん、JICA ( ジャイカ / 独立行政法人 国際協力機構 ) のザンビア事務所長です。

▼海外協力隊とは、上述のJICAの事業のひとつですね。
 世界の途上国の現場へ日本の志ある人材が派遣され、感染症・エイズ対策やお産の手助けをはじめ医療、教育、酪農や野菜栽培などの農業、多様な技術、そしてスポーツ・身体づくりといった分野で、途上国の困難な課題の解決に手を差し伸べています。
 日本国民にはふだんあまり情報がありません。しかし多くのかたがおそらくは想像されている以上に、日本への敬意や感謝を世界に広げ、日本国の世界での地位を高めている尊い活動です。
 派遣された人材ご自身が、現地で自らを高められ、日本に帰国後は祖国に献身されています。

▼かつては「青年海外協力隊」だったのが、いまは「海外協力隊」として写真のように世代を超えています。
 わたしの右隣の隊員は、自動車修理をはじめ自動車に関する技術を日本で長年、培われ、いまはザンビアの技術者、あるいは技術者の候補に教えていらっしゃいます。
 公共交通機関が乏しく、また移動するための環境も厳しいザンビアにおいて、どれほど貴重な存在になられているか、十二分に感じました。

▼また、真ん中の若い女性は、ザンビアにとって決定的に重要な畜産について現地指導をされています。
 その生活は、部屋の内外で襲来する有害な虫や、繰り返される停電、さらに水の深刻な不足と毎日毎夜、戦う生活です。
 それを、みなさんが今、写真でご覧になっているような、いわば本物の笑顔の力で克服している様子に、やはりわたしは、秘かに涙を拭いました。

 青年のふたりは、溌剌として、しかも淡々と穏やかに、それぞれの専門を活かした献身をなさっています。
 このおふたりの試練と努力の実話をうかがい、表情や姿を拝見していると、日本で喪われたと思われているような青年像が、こうして静かな大和魂を秘めて実はちゃんと健在であることを深く、胸に刻むことができました。

▼米林所長の逞しさ、明るさ、志の高さも、みごとです。
 かけがえのないひとです。

 このエントリーでありのままに記した、インドからの聖女おふたりに共通する、清らかな魂を日本人のなかにもこうやって再発見することができたのは、日本の途上国支援のあり方を調査する任務を背負ったわたしたちにとって、大きな励ましとなりました。

 また、欧米社会の建前とは別にほんとうはきわめて深刻な人種偏見、人種差別の現場に、わたしは世界で遭遇してきました。
 日本人の途上国支援には、そうした人種偏見、人種差別がカケラも無いことが、大切な特徴のひとつであることを海外協力隊のみなさんに感じました。

 あらためて米林所長と、海外協力隊員の4人のみなさんに、深きも深い敬意と感謝を捧げます。

▼この国際社会が今、根っこから姿を変えようとしている現実も、わたしたちは共に真っ直ぐ考えたいと願います。
 わたしたちがみな学校で、たった今の子供たちも同じく、あたかも最善の存在のように教わってきた「国連」、実際は「連合国の戦後版」、そのまさかの崩壊が何をもたらすかを、この動画で考えています。

※「笑う火の鳥」が何を意味するのかは、このエントリーにあります。





 
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